LastUpdate 2007.7.20

J S M E 談 話 室

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JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。
本会理事が交代で一年間を通して執筆します。

No.58 「田舎の技術者にとっての機械学会の効用」

日本機械学会第85期財務理事
沖 善成(三協立山アルミ(株)執行役員)


 機械学会に入会したのは、卒論を機械学会で発表しなさいと恩師に言われたことがきっかけでした。関東支部の学生発表講演会だったのでしょう。当時は、学会で話をするなどということは、もちろん初めてで大変緊張した記憶があります。でも、なんとなく誉れ高い気分になっていたような気がします。その後、田舎にUターンして40歳過ぎまで学会誌は毎月届いていましたが、特に会員であるという自覚もなく、機械屋だから機械学会くらいは入っておかないと、まずいだろうという位の気持ちでした。そのころ、地元に新設された県立大学に赴任された当時は助教授だった先生から、学会賞に応募したらどうかと誘われ、学会賞とは何ぞやということも良く分からず申請しました。その結果、なんと技術賞をいただき、二、三年は御礼奉公かという軽い気持ちで部門運営をお手伝いしているうちに10年あまりも経ってしまいました。
 この十数年を振り返り、もし、学会活動に携わらなかった場合と比較しますと、知り合うことができた人の数や、仕事を抜きにして行った国の数は、非常に大きな差であると痛感しています。機械学会というとすぐに論文や研究発表会ということになりますが、これはあくまで相互に情報発信をして技術水準を上げましょうという場作りで、本当の効用は、その後の懇親会等をきっかけとした付き合いから始まります。携帯電話でひょいと連絡がとれる仲間が何人いるかが、仕事をする上でも大きな力になります。
 さて、先日、法工学専門会議が開催した、特許についての講演会を覗いてみました。動機は、弁護士で工学博士とはどんな人かということに関心があったというのが本音で、特許についても参考までに聞いておいて損はなかろうという程度でした。2時間あまりお話を聞いて、あらためて特許制度について認識を得て十分満足して帰りました。また、同じような気持ちで、宇宙工学部門でおこなわれた宇宙サロンに出席しました。JAXA・宇宙科学研究本部とどんなとこかということと、演題の「宇宙構造物と生物」に興味がありました。これらはともに夕方の5時以降や土曜日に開かれましたので、主催された先生方には恐縮ですが、軽い気持ちで参加しました。しかし、内容は、ともに、最先端の新鮮なもので、仕事上も発想をあらたにするのに、大変役に立つものだったと今は思っています。このような内容をもつ機械学会に日ごろ触れる機会を与えてくれた学会にあらためて感謝する次第です。欲をいえば、金融工学の部門あるいは専門会議などが、できればいいなと勝手に思っています。
 企業に入り、仕事上役割分担して一生過ごすばかりではなく、学会を通じて、せっかく生きている今の時代を、こころ豊かに過ごす機会を得ようではありませんか。機械学会のホームページを見ている方々には、あらためて申し上げる必要もないのですが、まわりの同僚にもぜひ勧めていただきたいと思います。

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