LastUpdate 2016.6.10


J S M E 談 話 室

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JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。
本会理事が交代で一年間を通して執筆します。

No.147 「イッツ・ア・スモールワールド! 出会いから始まる偶然」

日本機械学会第94期広報情報理事
松日楽 信人(芝浦工業大学 教授)

松日楽信人

 7人をたどると自分を知っている人に行き着く。ということを聞いたことがあると思います。ネットワークの世界でスモールワールド現象と言われています。
 インターネットの普及した現在では4人だそうです。ソーシャルネットワークサービスなどにより、そのたどり着くスピードはより速くなっていることでしょう。

 それにしても偶然の出会いにはいつも驚かされます。同じ分野ならあってもおかしくないでしょうが。

 先日も、高校以来の先輩と今の自分の第2の職場で会いました。40年振りでした。文系と理系の道に進んだにもかかわらず、何で!? しかも地元ではなく、都会で、です。
 同じく高校の同級生とは進んだ分野は違うのに、30年振りに同じ研究プロジェクトで会いました。それまで、全く、接点がなかったのですが。
 そもそも、これまで接点もなく、仕事で知り合った人が、住んでいる最寄り駅が同じだったこともありました。長年の人脈形成の成果でしょうか。良く似た人がいると思っていたところでした。

 この前も、滅多に聞かない音声処理の製品について、友人の紹介で説明を聞くことになりました。すると、話しているうちに、以前、会社で一緒に仕事をしていた友人とも、仕事上で大変親しいということもわかりました。その友人もすでに第2、第3の職場に移っていて、10年位会っていない人でした。

 意外ということでは、共同研究をしていた方が退職されて、顧問として異動された機関と、まさか、数年後、私も第2の職場ですが、一緒に共同研究をすることも予想も付きませんでした。それまで、私の知らなかった機関でしたし。今では、その機関は大変重要なパートナーとなっています。
 大学との共同研究も沢山実施して来ました。知り合いの先生が別の大学に異動され、共同研究を始めたところ、その研究室のゼミの学生が、家内の知り合いの方に授業で教わっていたことを知り、ビックリしました。もちろん家内は大学の関係の仕事はしておりません。

 家族に至っては、そういえば、家内も大学の恩師の紹介でしたが、学生の頃、同じ地区をよく出入していたことがあったようです。もしかしたら、すれ違っていたのかも知れません。さらに、私が大学時代にクラブで指導を受けた有名選手も、家内は以前の仕事の関係で知っていました。
 これらは、とても繋がるようには思えないのですが、そこが意外性なのかと思います。

 さらに家族とは、約束なしで、駅でバッタリ会ったり、良くあります。この原稿を書いていた日にも、電車を降りたら、家内が前を歩いていました。皆様は如何でしょうか?

 まさにイッツ・ア・スモールワールドなのですが、実は、そこまでには長い月日があることも多く、それまでの経験が重要であることも忘れてはいけないことだと思います。

 最後に、偶然というと、セレンディピティという言葉があります。元々は「セレンディップの3人の王子」という童話です。王が王子たちを鍛えようと旅に出します。いろいろと意外な出来事と出会いますが、それらを深い洞察力により、もともと探していたものとは違う何かを発見します。この物語では、何か目的を追っていると、予期しない別の素敵な発見をするということを示唆しています。その能力のことをセレンディピティと呼ぶようです。これも耳にされたことがあるのではないでしょうか? もちろん、何も努力せずに、ではないと思いますが。。。

 さて、あまり自分のことを書いていてもしょうがないのですが、ここでは、出会いについて、お話させて頂きました。大きな発見や、偶然もあるかと思いますが、多くの人はそれぞれに、大切な発見や偶然があることと思います。それも、出会いの「きかい」から、始まるような気がします。ですので、出会いは大事にしたいといつも思っています。

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