−フォーラム−

 

フォーラム「人間のモデル化とシミュレーション」

 

開催趣旨

近年,人体のモデル化に関する研究が盛んに行われております.人体のコンピュータモデルは様々な工業製品の安全性・操作性・快適性などの評価に使われております.その理由としては,生身の人間では行えないような危険を伴う環境での評価や正確な再現性の確保あるいは個人差を排除した評価などが容易に短時間に行えるからでしょう.しかし,人体のモデル化には人間の形状・機能・質量分布・材料特性・など多くの情報が必要であります.さらに,人体モデルをより人間らしくするためには,筋肉や骨格,感覚や反応さらには判断などの機能を組み込む必要があります.そこで,未来に向けた人間のモデル化に関してそれぞれの専門の立場から人間のモデル化の現状と将来展望を語って頂き,この問題に機械力学分野や計測制御分野の多くの方々に関心を持って頂こうという趣旨で,フォーラム「人間のモデル化とシミュレーション」を企画致しました.

 

日時:929() 13:0016:00

場所:第A室

 

内容

 

13.00-13.10 挨拶 宇治橋貞幸(東京工業大学)

 

13.10-13.35 人体形状のモデル化と産業応用

持丸正明(産業技術総合研究所)

Key Words:人体形状,形状計測,モデリング

概要:人体の表面形状を産業に役立てる技術として,解剖学的特徴点に基づいて相同モデルを構成し,その個人差を記述し,統計処理することで,類型化したり,あり得る代表形状を合成する技術について述べる.また,その体型の物理的な相違を,感性尺度に置き換える心理モデルについても紹介する.

 

13.35-14.00 理研における生体力学シミュレーション研究

姫野龍太郎(理化学研究所)

Key Words:人体,モデリング,シミュレーション,血流,構造解析

概要:理研での生体力学シミュレーション研究の現状を,循環器系シミュレーションを中心に紹介し,並列計算との関係にもふれる.これまでは,人体コンポーネントについてそれぞれが関連性を持たない条件のもとで研究を行ってきた.全身のシミュレーションを可能とするためには,これらのコンポーネントをコンピュータ上に並列化して行く必要がある.

 

 

 

 

14.00-14.25 筋骨格系のモデル化

長谷和徳(名古屋大学)

Key Words:筋,骨,関節,筋張力,バイオメカニクス

概要:人体の筋骨格モデルは,日常生活動作やスポーツ動作中の身体骨格系に作用する力学的負担の評価や,整形外科における筋骨格系の疾患の診断などへの応用を想定し,これまでにも様々なものが開発されてきているここでは,筋骨格モデルと機械工学との結びつきを念頭におき,その概要と将来展望について述べる.

 

14.25-14.35     憩

 

14.35-15.00 人体コンピュータモデル開発に関する自動車工業会の取り組み

(インパクトバイオメカニクス研究)

杉本富史( ()日本自動車工業会),山崎邦夫( ()日本自動車研究所)

Key Words:産学連携,モデリング,人体

概要:()日本自動車工業会(JAMA)では,従来は主に個々の自動車メーカで対応してきた人体のコンピュータモデルの開発とその研究(インパクトバイオメカニクス研究)について,自動車メーカ間あるいは大学との技術交流による研究能力の向上を目的に,業界として取り組む活動を開始した.ここでは,その活動の背景と内容を紹介する.

 

15.00-15.25 人間の認識から判断・運動における情報処理

(ハイブリッドシステムの視点からの工学的実現を目指して)

井村順一(東京工業大学)

Key Words:人間,ハイブリッドシステム,制御,判断,運動

概要:人間は,複雑な事象をシンボル化して把握することで情報の複雑さを簡単にすることに成功し,環境に対する適応能力や複雑な問題を解く能力を手に入れたように思う.このような人間の巧妙な情報収集と制御のメカニズムを,一般のシステムの制御系設計論に組み込むことができれば,より人に近づいた高度なシステムができるのではないかと期待する.

 

15.25-15.55 質疑応答

 

15.55-16.00 まとめ 宇治橋貞幸(東京工業大学)