部門長挨拶
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2023 年度(第 101 期)の機械力学・ 計測制御部門長を仰せつかりました山崎徹です.副部門長の高橋正樹先生(慶応義塾大学),部門幹事の中村弘毅氏(日本自動車研究所),部門運営委員の皆様,そして本部門担当の日本機械学会上野晃太氏のご協力をいただきながら,第 101 期の部門運営を行って参ります.どうぞよろしくお願いいたします. 1.本部門の活動について 本部門は37年目を迎えました.部門HPの歴代のニュースレターから,当該分野の生い立ち,成長と共に,先達のアイデアや試み,苦労なども鑑みることができます.本部門は,機械工学における「四力学」の一つ「機械力学」と,ダイナミクスと関連の深い「計測と制御」の分野を主たる活動基盤とし,学術的な基礎研究から実践的な応用研究,他部門との連携による新領域まで幅広く活動がなされている部門です. 本部門の活動は,部門運営委員会を中心として,部門に所属する25の研究会などの協力の下で,部門講演会「Dynamics and Design Conference」(略称 D&D)を始め,種々の講演会・講習会・研究会の企画・実施などであります.研究成果の発信活動では,日本機械学会論文集においてD&D 特集号の継続的な企画,学会英文誌 Mechanical Engineering Journal の Dynamics & Control, Robotics & Mechatronics カテゴリーの担当などを通じて,本学会の学術出版活動にも大きく貢献しております. 2.本部門の課題について このように活発な活動を進めている本部門においても,日本機械学会全体で課題とされている「若手会員の減少」や「企業からの参加者の割合の低下」などは重要な課題であります.またVUCAな時代(先行きが不透明で,将来の予測が困難な状態),ChatGPTをはじめとする生成型AIの驚異的な普及など目まぐるしく変化する状況の中,これまで以上に社会への関与が強く求められる時代になったと感じられるようになりました. 3.本部門の今後について 目まぐるしく変化する現在,日本機械学会として種々の検討が精力的に進められております.詳しくは,10年ビジョンに向けて:2023年(101期)取り組み方針,をご覧ください.当該部門においても,For Engineersは当然のこと,For Societyとして社会への関りを増していく必要性があると考えます.新しいことに挑戦し,創造的な活動を行い,学びを追求する組織になれば,多くの会員が楽しさや興奮を感じる学会の価値を向上させることができ,その結果,若手のメンバーや企業からの参加が増える可能性も考えられます.本部門のエンジニアや研究者など,本部門の運営に関わる人々は,各自が従事する業務や研究に関わる活動を中心に進めるのは当然のことです.そのうえで,近年では,本部門の運営に関わる我々は,本学会および本部門が社会課題に対して貢献するために協力し,課題解決に取り組むことがますます重要になっていると思われます. つまり図に示しますように,「研究」を深海で宝を追求することであると考えると,各自の関心分野を探求していくことはこれまでと同様に重要であり,学会を学術の共有・発信場として活動を進めればよいと考えます.同時に,議論とコミュニケーションを通じて得る浅瀬にある宝のような各自の気づきと,それらを集めて連携していくことにより「社会実装」を実現する.まさに,海の宝を地上に還元することと同様な意識を持つことが重要ではないかと思います.社会実装は多くのヒト,モノ,コトが関わる複雑なプロセスですので,相互理解を深め,知識や手法を統合し,応用研究と実際の課題解決を行うPDCAサイクルを進めていくことが必要です.そのためには,課題の本質に基づき,全体像を俯瞰し,共同でアイデアを創り出し,共同で育成していく精神が重要になります.「部門長就任に際して」
図:研究と社会実装を両輪として
4.今期の取り組みとご支援のお願い
本年度は,部門運営委員会の皆様,研究会の運営陣の皆様に,まずは上記の「3.本部門の今後について」を相談させていただき,相互理解を深めて参りながら,社会実装に関するような活動事例の収集や企画の可能性などを抽出していければと思います.また,D&D2024(2024年9月2日から神奈川大学横浜キャンパスでの開催を計画中)に向けて,オーガナイザや領域先達による動向・将来の解説などを行う領域俯瞰セッションを新たに各OSに配置できないか,なども相談させていただきたいと考えております.
このような相談の場としては,前部門長の井上剛志先生と開始しましたDMC研究会運営陣との会合やD&D2023の際など,またメールなども活用して,会員の皆様のご意見を伺いながら進めていきたいと考えております.さらに,本ページをご覧になられた皆様からも,部門への期待や要望,ご提案などを忌憚なくお寄せいただければと思います.
今年一年間,本部門登録の皆様にとっての活動の魅力や価値を少しでも感じていただけるように,運営委員の皆様と共に精進してまいりたいと考えます.引き続き,部門の運営へのご協力をお願い申し上げます.