部門長挨拶
東日本大震災により多くの方が被災され,また尊い生命が奪われてしまいました.被害に遭われた方々及びその関係者に対して心よりお見舞い申し上げます.
さて,現在日本では大臣を置いてまで少子化対策を行っているにもかかわらず,少子化高齢化が進んでいる.
一方で,バブル以降経済が低迷停滞しており,GDPは中国に抜かれ,産業・経済の国際競争力はどんどん下位の評価へと転落しつつある.
このため産業を活性化し,少ない労働人口になってもGDPを回復するためのあらゆる努力が政策的に行われてきているが,
機械工学分野に求められてきたものはいわゆるイノベーションによる現状の打破である.
イノベーションは新しい技術の発明だけではなく,新しい見方・考え方によって新たな価値を創造していくことを意味し,
産業・経済の新たな発展を狙って多くの研究者らがチャレンジしている.
当部門でも加部前部門長らが立ち上げたSSE研究会は,まさに新しい切り口による安全の概念をものづくりサービスへ融合するチャレンジとして成果を挙げつつある.
しかしながら,失いつつある国際競争力を一気に回復するような解を一握りの大きな成果に期待するのはなかなか厳しい.
この意味で,将来の産業動向および技術の進歩についての展望を描き,これを目指した技術開発を着実に行っていく中で達成するのが現実的といえよう.
日本機械学会では,イノベーションセンターの中に技術ロードマップ委員会を設け,今後の技術の動向を示そうと活動を行っており,
こういった技術の将来展望を専門的見識に立って示すことが求められている.
ここで,日本の産業を支えているのは,今までに築き上げてきた社会基盤,産業基盤である.港湾・空港,鉄道・道路網,および生産機械としての産業機械,
化学機械といった本部門が受け持つべき分野である.これら基盤設備についても,バブル期にその多くが建設された後,更新されずに高経年化に至っているものが数多くある.
産業競争力が回復するまでの間は,これら設備の集中的な更新は困難であるとすれば,経年劣化に起因する故障や事故の発生を抑制して安全を確保しつつも,
延命して生産力を確保しなくてはならない.
本部門では,この分野におけるロードマップの作成を今まで行ってこなかった(こられなかった).
そこで,本年度より当部門においても将来の技術動向の議論を始めて,技術ロードマップを提示していきたいと考えている.
これによって,日本の社会基盤としての産業機械および化学機械の発展を促し,安全を確保していく役割を少しでも担いたいと考える.
第90期の部門長をお引き受けすることとなりました.部門の運営に尽力していただく委員の方々,および活動をお手伝いいただく学会事務局他の皆様に支えていただきながら,
活性化させていきたいと思いますので,どうぞ会員の皆様にもご協力のほどお願いいたします.