IIP2010講演会報告

フェローテック(株)
有賀 敬治

IIP2010:2010年 情報・知能・精密機器部門講演会
2010年3月16日(火)-17日(水)
東京電機大 神田キャンパス7号館5階
プログラム等は下記
http://www.jsme.or.jp/iip/Japanese/Events/Data/100316_annai.html

 IIP部門講演会が開催されましたので、その概要を報告いたします。
この講演会は、IIP部門設立の母体となった 「メカトロ講演会(初回は1984年)」に端を発し、本部門のルーツとも言える講演会です。
今回は、下記7分野のオーガナイズドセッションを設定しました。
  1)コンピュータメカニクス
  2)ヘッドディスクインターフェイス
  3)柔軟媒体ハンドリング/画像形成機器
  4)マイクロナノメカトロニクス
  5)生体治療・医療
  6)メカニカルシステム/知能化
  7)マイクロナノ理工学

 投稿論文件数66件、キーノート講演3件、参加者数134名でした。
また、最近は要旨講演とポスター講演という形が多かったのですが、本年は、オーラル講演(47件)とポスター講演(19件)という形としました。これは、やはりオーラル講演がメインの方が議論が盛り上がるという指摘があったためです。会場は過去数年は東工大でしたが、本年は諸般の事情により、東京電機大としました。

  論文件数、参加者数もさほど多くなく、比較的こぢんまりした講演会であり比較的アットホームな雰囲気で多くの議論がなされたと思います。またキーノートスピーチとして3件の発表をいただき好評でした。

  同時に、マイクロ・ナノ専門会議との共催による、「μTAS2009/MEMS2010ダイジェスト報告会」を同じフロアにて行いました。相乗効果による集客効果を狙った試みです。

  16日夕刻には、47名の方々が参加し、同好会が 17Fカシオホールにて開催されました。そこでは懇親を深めると共に、部門表彰の表彰式も行われました。(集合写真参照)

  ここに至るまでは、講演者殿、参加者殿はもちろん、オーガナイザの諸先生方、会場となった東京電機大関係者、IIP部門主査会議メンバ、機械学会事務局、そして当日会場管理など多くの仕事をしていただいたアルバイト学生諸君など多くの方々のお世話になりました。ここに厚く御礼申し上げます。

 参考までに、過去6年間のIIP講演会の論文数、参加者数の推移を図に示します。(2006/2009年は、ASMEとのジョイントによるMIPE/ISPS国際会議のため除外)件数は、若干の変動はあるものの80件前後とほぼ横ばいですが、参加者数が暫減傾向なのが気になります。これは、昨今のリーマンショックに代表される厳しい経済情勢の影響も確かにあります。特に今年は、企業からの発表が6件、企業側参加者が30名と少なかったことは、経済情勢の変化だけではない構造変化があるようにも思います。もちろん、かって企業で活躍されていた多くの方々が大学に移られたという事情もあるでしょう。IIP部門は、機械学会の中でも“企業と大学の技術情報協力”というところが特徴だったと思います。1984年の初回メカトロ講演会はちょうど磁気ディスクの高度成長期ということもあり、企業から多くの論文が出され、大学関係者とともに熱気ある議論がなされていたように記憶しています。昨今のHDD技術の成熟化、企業集約、そして、IIP部門の守備範囲拡大とともに、どうもエンジニアリングの基本である現場からの距離が段々広がってきてしまっているようにも感じられます。

  この問題は、当部門の存在基盤にも係わる非常に重要な課題と思います。すぐに特効薬はないかも知れませんが、今後われわれも部門のありかたも含め検討していかねばと危機感を持っております。もちろん基本は、このニュースレター読者の方々の積極的な参加ですので、よろしくお願いしたいと思います。部門活性化のご提案なども大歓迎です。

 なお、2011年のIIP講演会は、3月22日〜23日に開催が予定されております。(詳細は別報)多くの皆様の積極的なご投稿、ご参加をお願いいたします。


IIP2010集合写真

 


IIP講演会の推移

Last Modified at 2010/11/1