日本機械学会「機械遺産」  機械遺産 第30号/MECHANICAL ENGINEERING HERITAGE NO.30
自働算盤(機械式卓上計算機)
パテント・ヤズ・アリスモメトール

Mechanical Calculator, “JIDOSOROBAN”
 現存最古の国産機械式計算機が、この「自働算盤(じどうそろばん)」である。発明者は矢頭(やず)良一(りょういち) (1878〜1908)。彼は現在の福岡県豊前市に生まれ、飛行機研究の傍ら1902(明治35)年に「自働算盤」を発明、翌1903(明治36)年に特許を得て販売した。
  この計算機は歯車式で、1個の円筒と22枚の歯車から成り、数値入力に算盤と同じ2進法・5進法を採用した独特の機構をもっている。乗除の際の桁送りが自動的で、演算終了時に動作が自動的に停止するなど、当時の海外の計算機よりも優れた性能を実現していた。1台250円で、約200台が陸軍省、内務省、農事試験場等に販売されたと言われている。
  矢頭の目的はエンジン付飛行機の研究で、その資金を得るために計算機を作ったといわれ、その後計算機の製造は行われなかった。
  「自働算盤」は我が国最初の機械式計算機で、その独創技術はもちろんのこと、国産の計算機利用の先駆けとなったものとして、機械技術史・計算機器史上極めて重要な遺産である。
  ちなみに、森鷗外の「小倉日記」に、飛行機研究の援助を求めるために、計算機の模型を持って鷗外を訪れたことが紹介されている。
《写真提供:北九州市立文学館》
公開
北九州市立文学館
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