来たれ!材料力学部門へ!

第8技術委員会 野中 勇(石川島播磨重工業)

 安全で、生活しやすい社会を築くために、基盤技術である材料力学に期待するところは大きいと思われる。それは、先の阪神大震災の経験からも明らかである。しかし現在、材料力学部門への登録者は第4位で、他部門に比べて伸びが低調である。部門活動をさらに活発にして、社会に貢献するためには、まず、登録者数を増やす必要がある。未登録の方は是非登録して下さい。
 さて、今回は我々の生活の基盤である電力の安定供給について述べる。電力の安定供給においては、我が国は世界のトップクラスであるが、実はそれには材料力学が大きな役割を果たしている。電力の主力である火力発電設備の多くは、昭和40年代の高度成長期に作られたもので、累積運転時間が20万時間を超えるものもある。これらの経年設備の安全性を確保するためには、部材の損傷度を計測し、余寿命をできるだけ正確に把握する必要がある。それは、人間の健康状態を把握して、余寿命を予測するのと同様に、非常に難しいことであるが、ここ十数年来、材料の破壊メカニズムの研究や非破壊損傷計測法の開発が産学間で精力的に行われてきた。その結果、少なくとも次回の定期検査までに、設備を更新すべきか否かの判断は可能になったと考えられる。これまで、材料力学は主に構造物などを設計製作する段階で必要な学問であったが、最近では設備などの運転中の安全性を確保するのにも役立っている。今後、経年設備はさらに老朽化が進むため、精度の高い余寿命診断の需要はますます高まると思われる。これは、火力発電設備に限らず、原子力発電設備、各種プラント、各種構造物および各種機械類についても同様であり、低成長時代の産業界の潮流でもある。
 21世紀には人に優しい地球環境を作るために、様々な試みが予想される。ここでも材料力学は基盤技術として他分野の技術を支え、融合して行くことが期待される。


材料力学部門のホームページに戻る
このページに関するご要望・お問い合わせは
jsme_admin@nssun.me.es.osaka-u.ac.jp