分科会、研究会のご案内


 昨年発行いたしましたニュースレターNo.17で材料力学部門の分科会と研究会の案内をいたしましたが、その後1つの分科会と3つの研究会が増設されましたので、ご紹介します。
 分科会は、設置期間は2年(1年に限り延長可能)で、特定のテーマを設定し、調査研究を行うもので、委員数に制限があります(32名まで)。一方、研究会は、20名以上の会員をもって構成し、広範な分野を対象とします。設置期間は最長5年で、著しく増加しない限り設置数の上限は設けられていません。
 新たに分科会、研究会の設置を希望される場合は、申請書を部門長宛に提出してください。設置の可否は部門運営委員会において審議の上、決定することになっています。


分科会P-SC290

「形状記憶合金の強度と破壊に関する調査研究分科会」

 幹事  佐久間俊雄(電力中央研究所)

 「形状記憶合金は、温度、負荷応力の変動に伴なう相変態・形状回復などの形状記憶効果および超弾性特性を有する他に例を見ない特殊な合金です。このため、医学、工学などの分野から民生部門に至るまで様々な応用が考えられています。本分科会は、形状記憶合金の強度特性およびこの特別な性質の工学的な応用を幅広く研究することを目的としています。そのために次のような項目について研究調査を行なっています。
 (1)形状記憶合金の変態・変形挙動の把握と評価法の確立
 (2)形状記憶合金の熱・ひずみサイクルにおける繰返し変形挙動の把握
 (3)形状記憶合金の疲労寿命の把握と余寿命評価技術の確立
 (4)形状記憶合金の製造・加工技術の向上と低コスト化
 (5)その他、熱エンジンなど、形状記憶合金を利用した応用技術
 本分科会は、平成9年5月にスタ−トし、大学、研究機関、素材メ−カおよびユ−ザ−など30名を超える委員で構成され、研究報告、文献紹介を主に、研究設備見学などを適宜織り込みながら活動を続けて行く予定です。また、毎年の機械学会講演会等において成果の一端を紹介する計画としています。
 形状記憶合金は、すでに述べたように特殊な性質を有している合金であり、適用分野も幅広いものが想定されます。そこで、材料関連の研究者のみならずエネルギ−分野、医学分野など幅広い学問分野の方々の積極的なご参加を歓迎します。


研究会A-TS 03-11

「弾性数理解析法の工学的体系化に関する研究会」

主査  畑 俊明(静岡大学)

 弾性力学解析は、戦後50年、多くの先達により、円孔や切欠きなどの応力集中問題や、種々の機械的構造に生じるき裂先端の特異応力解析、熱応力の数理解析等の固体の数理解析に関し、国際的に高く評価される研究がなされ、この分野の世界的発展に多大な貢献をしたばかりではなく、日本機会学会の発展に寄与したことは計り知れません。しかし、この10年間は、コンピュータを用いた計算力学の発展によって、弾性数理解析法の意義が見失われがちとなっていましたが、近年、計算力学と数理解析との相互補完的関係の重要さが指摘され、再び弾性数理解析の意義が見直されつつあります。そこで、本研究会では、戦後50年の日本における「弾性学」の歴史を振り返り、その中から21世紀に向けて役立つ知識を抽出し、その解析手法の体系化を図る事が文化の継承の上で重要であると考え、今、世界的に活躍している数理弾性論の専門家をできるだけ多く委員に委嘱しました。
 本研究会の活動は、弾性力学解析の目的が、1)現象の解明、2)解析方法の開発、3)開発設計指針の構築、であることを考え、この視点で、戦後50年の歴史を概観し、21世紀の先端分野での理論研究に応用可能な解析手法の体系化を図ることを目的としています。
 当研究会では、平成9年4月に設置されて以来、当研究会の委員がオーガナイズするアメリカのロチェスターで行われた国際会議 Thermal Stress '97(6月開催)を支援し、7月には、機械学会100周年行事ICM&M '97 で「New Application of Solid Mechanics for Advanced Materials」を企画し大きな成果をあげました。本研究会は、定常的には、年3回つまり材料力学部門講演会、春の通常総会、及び、地方で行われる機械学会講演会の前日を研究会セミナーの日と定め、関心を持たれる研究者に広く参加を求めています。


研究会A-TS 03-12

「ハイブリッド表面改質による機能発現と信頼性評価に関する研究会」 

幹事  武藤 睦治(長岡技術科学大学)

 環境調和、性能向上、省資源、コスト低減などの観点から、部材表面に物理的、電気的あるいは化学的機能の付与・発現が強く求められています。本研究会では、これら表面機能化に係わる表面改質技術及び信頼性評価を総合的に取り扱う新たな工学手法の確立を目指し、平成8年10月に発足しました。主査は茨城大学の鈴木秀人教授であり、委員94名で構成されています。年3〜4回の研究会+懇親会のほか、シンポジウム及び学会講演会におけるOS等の企画を積極的に進めています。また、独自の研究会ニュースレターの発行、関連文献の紹介、さらに小委員会活動も行っています。本研究会はきわめてオープンですので、気楽にご参加下さい。


研究会A-TS 03-13

「強度と破壊評価技術の高度化に関する研究会」

幹事  井上 裕嗣(東京工業大学)

 これまでの材料強度・破壊評価技術は、主たる機能を実現するための構造設計の観点からは受動的な存在でした。しかし、破壊力学を始めとする学問レベルの向上と、計算機の発達による計算能力の向上により、損傷・強度をより高精度で予測することが可能になりつつあります。本研究会では、機器の設計や保全に先行して用いられる地位の獲得を目標として、強度と破壊評価技術の高度化を目指しています。
 委員は全国各地から集まった約40名で構成されており、特に30歳代以下の若手の交流の場として新鮮なアイデアによる斬新な活動を計画しています。第1回は平成9年9月29日に東大の山上会館にて開催します。また、平成9年11月20日・21日に開催される「材料の強度と破壊に関するモデリング/シミュレーション/マルチメディアシンポジウム」では、本研究会のメンバーを中心に、マルチメディアを利用した講演を試行する予定です。
 21世紀に向けた新しい材料力学の方向を模索するために、博士課程学生や20歳代の研究者などさらなる若手の参加も歓迎します。


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