第4回ロボットグランプリについて

 2000年11月4,5日に第4回ロボットグランプリが神奈川県川崎市の「とどろきアリーナ」において開催されました.本大会は2001年に開催されるロボフェスタのプレ大会として,他のロボット展示やイベントと併設して行われたこともあり,とどろきアリーナ開設以来の最高記録となる2日間で3万8千人という見学者を集める大成功をおさめました.大会の結果等は公式ホームページhttp://www.RobotGrandPrix.comに記載しましたのでご覧下さい.
 これまでと同様に,今回も川崎かおりさんの軽快な司会のもとで競技は進行しました.それぞれの競技の概要と優勝チームは以下の通りでした.



(1)「大道芸ロボット競技」 : 11月5日 10:35〜12:20
 自由な発想の大道芸ロボットを製作してもらい観客をもっとも喜ばす演技を行ったロボットが優勝できる競技.今回の優勝チームは宇部工業高校の「流しのギタ郎」.計算機制御されるギター演奏で見栄えのある演技を披露してくれました.また準優勝は東工大の「ロボットバーテンダー」.客が希望するとその希望に応じたカクテルを造る大掛かりなロボットで,授業の一環として数ヶ月で仕上げた作品とは思えない高度な技術が詰まったロボットでした.



参加ロボット(1)


(2)「からくりロボット競技」 : 11月4日 13:10〜15:00
 動力源として電力以外ならば何でも使用していい,動くメカニズムで作られた「からくりロボット」の動きの面白さや精巧さを競う競技.今回は,出品作品を会場内に展示し,観客がすぐ近くまで近づいて見ることができるような展示方式としました.しかし予想以上の人出があり,また展示スペースを広く取れなかったため,作品をじっくり見るということはかえってし難い面も出てしまいました.そのため,次回はさらに競技法を改善するつもりです.今回の優勝チームは香川大学の「AR ( Arrow Rush )」.弓に矢をつがえて飛ばす動作が巧みなメカニズムで実現できて高く評価されました.展示された作品の周りに子供たちが集まり飽きずにその動きに見入っていたのが印象的でした.



参加ロボット(2)


(3)「ロボットランサー競技」 : 11月4日 14:00〜16:30(決勝)
 槍を持った槍騎兵(ランサー)ロボットが周回コースを高速に辿りながら左右に吊るされた標的を槍で正確に突いてゆく競技です.優勝は伊藤恒平氏の「YanYan2000F」でした.また準優勝は田村眞氏の「ロボキヨマサ」でした.準優勝の田村さんは企業を退職後趣味でロボットを製作し第1回から参加されている常連ですが,孫のようなほかの参加者と混じって競技を楽しんでくれているのが印象的でした.すでに田村さんは時の人であり新聞・雑誌にも多数紹介されました.シルバーエイジを田村さんのようにチャレンジングに過ごす人がもっと増えるといいなと強く感じました.



ロボットを見つめるこどもたち


(4)「ロボットスカベンジャー競技」 : 11月4日 14:00〜17:10
 この競技は,これまでロボット製作をほとんどしたことがないような人たちも気楽に参加できるように前回から始めた競技です.この競技では,大会の数週間前に特別価格で配布する有線で遠隔操縦できる車両キットに,家庭で手に入るボール紙やセロテープなどの部品を使ってロボットを製作してもらい競技してもらっています.スカベンジャーとは町の清掃人という意味ですが,競技台の上にばら撒かれたごみに見立てたピンポン球をかき集め,ごみ集積所やリサイクル工場に集めるという作業を早く正確に出来るかを競いました.参加者は,小学生と親,あるいは中高校生の2人チームとしました.大学生や一般の人も参加したいという声も多くあるので,次回からはより広い範囲から参加できるように競技規定を変える予定です.今回の優勝チームは,神奈川朝鮮中高級学校から参加した曹胴柱君らのチームでした.限られた材料を囚われない発想で組み合わせ,目的を達成するマシンに仕立て上げるという訓練を繰り返すことは,創造性育成に大変効果的と思われますが,スカベンジャー競技はそれを楽しみながら実行出来る大変有意義な競技であると感じられました.



決勝競技


 なお,各競技の入賞グループにはフジテレビからのフジテレビ賞などを合わせて最高で総額40万円(ただし,スカベンジャー競技は10万円)の研究奨励金と,ソニーのアイボや電動自転車,さらに松本零士氏からの色紙などの豪華な副賞が授与されました.また,参加者全員にオペラグラスなどの参加賞も贈られました.これからもこのような豪華な研究奨励金や副賞を用意する予定ですのでご期待ください.
 今回の競技会から「ロボットインターンシップ」と呼ぶ試みを始めました.これはロボットグランプリに参加したいが製作する場所が無いという学生のグループを,ボランティアで協力してくれる企業に面倒を見てもらい,共同でロボット製作をして競技に参加してもらおうというものです.今回は,電気通信大学の学生たちが特殊電装(株)と(株)マルコムの指導のもとで大道芸ロボットを製作し健闘しました.


ロボットグランプリホームページ:
http://www.RobotGrandPrix.com



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Last Update :  2001/5/11

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