一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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海水淡水化技術の普及促進の提言

社団法人 日本機械学会

動力エネルギーシステム部門

第80期部門長 斎藤彬夫

 21世紀半ば迄に世界の人口は60億人から90億人に増加すると予想されており,水不足の克服は,人類が持続的な発展を行う上で,重要な課題の一つと考えられます。自然エネルギー、原子力といった地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しないエネルギー源と組合せた海水淡水化技術は,水資源の確保は元より,地球環境の改善やエネルギー有効利用の観点からも重要な位置付けを得ると予想されます。 そこで,日本機械学会動力エネルギーシステム部門では温室効果ガスを排出しないエネルギー源と組合せた海水淡水化技術を将来有望なエネルギー・環境関連技術と考え,その普及促進に向け以下の提言をまとめることとしました。専門技術者集団として,この提言を広く関係各方面に呼びかけたいと存じます。 1.温室効果ガスを排出しないエネルギー源と組合せた海水淡水化技術開発の戦略的推進 現在水不足が深刻化している産油国では、石油や天然ガスをエネルギー源として大量の海水淡水化を行っており、資源枯渇の観点から,温室効果ガスを排出しないエネルギー源と組合せた海水淡水化技術が切望されている。 我が国におけるエネルギー技術開発と海水淡水化プラント技術開発は,これまでそれぞれ独自に行われて来たが,産学官の連携による戦略的技術開発によって両技術を融合し、総合海水淡水化技術として実用化を目指すことが肝要である。これにより,1970年代~80年代半ばに世界の先端にあった我が国の海水淡水化技術の国際競争力回復が期待できる。 2.都市の渇水・災害対策による先導的市場開拓と産業化の促進 都市の近郊に渇水・災害対策用水を確保することは、日常の安全及び安心感の醸成に繋がり、国民の生命・財産の保護及び社会の機能不全からの迅速な回復の観点から重要である。従って、国や行政が温室効果ガスを排出しないエネルギー源と組合せた海水淡水化のパイロット・プラントを国内で建設し、その成果を世界に向けて発信するような先導的アプローチにより、総合海水淡水化技術を新産業として育成することが望まれる。国際水管理に率先して貢献することは、我が国の国際的地位及びイメージの向上に繋がるものと期待される。

以上