2.技術の内容
スカイビングは,図1に示すように工具を傾けた状態で工具とワークを同期回転させ,工具を上下に3~6回程度,切込み深さを変えながら移動させることで加工を行う.工具はピニオンカッタと呼ばれ,1つの内歯車歯溝に対して1つの切刃しか作用しない.
新加工法の加工動作は従来のスカイビングと同じであるが,図2に示す新工具を適用している.新工具は,1つの内歯車歯溝に対して粗,中,仕上げの3つの切刃が作用するようになっており,切刃を増やすことで工具の長寿命化を図っている.新加工法では,スカイビングに比べ,工具形状が複雑かつ多数の切刃が作用するため,最適な工具諸元と加工条件をシミュレーションできるソフトを開発した.図3に本ソフトによる工具寿命予測の一例を示す.この例では形状の異なる7つ切刃について,摩耗部が黒色で示されている.
図4に乗用車用変速機の加工の一例を示す.従来のスカイビングの寿命200個に対し,1200個と6倍の寿命を達成した.
3. まとめ
内歯車を高精度かつ高能率に加工する新加工法を開発したことで工具寿命の課題を克服し,実用化を可能とした.今後,更なる工具コスト低減を目指し,新工具に最適な工具材料, コーティングについて技術開発を推進する. |
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図3 切削シミュレーション(工具摩耗予測) |
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図4 乗用車用変速機の内歯車加工事例 |
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