Last Update 2015.05.13
日本機械学会連続講座

日本機械学会 NEDO 受託事業

「法と経済で読み解く技術のリスクと安全」
〜社会はあなたの新技術を受け入れるか〜

第3期第2回 北大電気メス事件にみる医療機器使用による事故と責任の所在

NEDOプロジェクト実行委員会

●趣 旨
福島第一原子力発電所の事故は技術の安全性に対する人々の信頼を失わせた.しかし,技術なしに現代社会は成り立たない.
また,介護ロボットのような新技術は私たちの生活の質を向上させることが期待される.一方で,技術にはリスクがつきまとう.
介護ロボットの誤作動で被介護者が死傷することもあり得る.社会に利益をもたらすとともに,リスクを内包する技術はどのような条件の下で社会に受け入れられるのだろうか.
リスクが現実化したとき,技術者の責任は問われるのだろうか.
今,新技術の開発に従事する技術者の胸に去来するこのような疑問に,現在の法制度のみならず,法と経済学,正義論なども視野に入れて,体系的に答えようという野心的な試みからこの講座は生まれた.技術のリスクと安全に関心のあるすべての技術者に是非聴講していただきたい.

●開催日 2015年 6月 5日(金)17.30〜19.30

●会 場 日本機械学会会議室
東京都新宿区信濃町35番地,信濃町煉瓦館5階
電話(03)5360-3500/JR中央・総武線「信濃町駅」下車,徒歩1分
http://www.jsme.or.jp/gakkai.htm

★第3期第2回講師
伊藤 安海 (山梨大学大学院総合研究部 准教授)
近藤 惠嗣 (福田・近藤法律事務所 弁護士)

講演要旨
北大電気メス事件(札幌高裁・昭和51年3月18日判決)は北大付属病院で患者(2歳4か月)の動脈管開存症切断手術中に電気メスの電流を通す対極板装着部位(右下腿部)に熱傷が生じ,下腿切断に至った事件である.裁判では電気メスケーブルの交互誤接続(プラス側とマイナス側のケーブルの取り違い)が事件の原因であると認定され,ケーブルを誤接続した看護師1名が有罪,執刀医は無罪の判決となっている.
しかし,電気メスケーブルの交互誤接続のみでは事故は発生せず,安全装置のない心電計の同時使用があったために本件事故が発生したこと,本件事故までは電気メスの交互誤接続により患者に甚大な被害が及ぶリスクがあることは認知されていなかったこと,さらには現在では当たり前となっている接続のダブルチェックが当時は行われていなかったこと等を考えると,電気メスの準備を行った看護師1名を有罪にすることは再発防止の観点から疑問が残る.
そこで,電気メスによる事故リスクの技術的な検証と対策の歴史,チーム医療における役割分担と責任の所在,といった観点から本件事故の分析を行う.
さらに,次々に新しい医療機器が臨床の現場に導入されている現状に照らし合わせ,医療事故における原因究明の困難さとその打開策,再発防止に向けた臨床現場での教育体制の整備,医療機器メーカーや行政の役割と責任等に関する考察も行ったうえで,安全で透明性のある臨床現場の実現に向けた検討を行う.

●参加費 無料

●新規申込方法 「日本機械学会連続講座参加申し込み」と題記のうえ,(1)氏名,(2)会員・会員外(会員の場合会員資格・会員番号),(3)学校又は勤務先,(4)連絡先(電話番号,e-mailアドレス)を明記の上,下記申込先までE-mail又はFAXにてお申し込みください.なお,一度申し込みを受付し登録をされた方は,それ以降の講座に継続的に出席出来ますので,毎回申し込みをする必要はありません.

●問合せ・申込先 日本機械学会事業企画グループ 担当 荒木 弘尊/電話(03)5360-3506/FAX(03)5360-3508/E-mail:nedoproj-lt@jsme.or.jp


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