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RC232


 
1. 分科会名称

『ディーゼル機関における不均一燃焼の高度制御に関する研究分科会』

2. 主査名 石山 拓二(京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授)
3. 設置期間 2007年4月〜2009年3月(2年間)
4. 活動目的・内容

 
 CO2排出削減の要請により,ディーゼル排除からディーゼルシフトへの方向転換が行われる中,今後のディーゼル機関には,低NOx・低PM等環境性能をますます向上させつつ,高効率・高出力化を図ることが求められる.これに応えるためには,開発が進みつつある燃焼,排気後処理ならびに燃料技術を実用化,高度化するとともに,これらの融合を図る必要がある.
 燃焼技術においては,混合気濃度の不均一を極力排除したPCCI(予混合圧縮自着火)燃焼と,不均一燃焼を主体とする在来のディーゼル燃焼のそれぞれの長所を活かすため,これらを運転条件に応じて使い分ける考えが一つの流れになっている.しかし,完全に均一な混合気を着火・燃焼させる本来的なPCCI燃焼の利用は実用上問題があるため,現在では,不均一をある程度残し,大量EGR,吸排気弁制御,圧縮比可変化等を併用して動力・環境性能を向上させる方向が志向されている.一方のディーゼル燃焼においては,過給度の上昇やEGR率の増加などの条件変化に対応しながら,過剰な混合気濃度不均一を避ける混合制御をさらに高度化する必要がある.さらに,過渡運転時の排出物質抑制や操縦性の確保のためには,両燃焼方式の間をつなぐ燃焼方式の検討も必要となる.従って,要求出力・回転速度の全域に渡りより良い燃焼を得るには,圧縮条件・吸気質条件を選びながら混合気不均一を操ることが要点になる.本分科会は,このように「混合気不均一を操る」ことに重点を置き,基礎となる現象の解明と制御方針の立案を目指す.
 排気後処理技術ならびに燃料技術は,このような燃焼技術の方向性に強く影響する.排気後処理技術は,燃焼制御と一体となって機関の環境性能を向上させるべきことは明白で,さらに,多様化する燃料に燃焼技術が対応すること,あるいは逆に燃焼制御の観点から燃料性状はこうあってほしいといった要求を提示することが今後欠かせない.
 このような目的のために,研究内容を下記のような項目に分類して研究を進める.第一年目は,個別の項目について研究を実施しながら,それぞれの成果を統合してゆく作業を行う.

【上期/第1年目】
1)着火・燃焼の化学過程
・均一場での着火・燃焼現象の化学過程の解明
・不均一場での化学反応過程の解明
2)混合気形成・燃焼過程と制御
・不均一性を制御する混合気形成法の検討
・不均一性と着火・燃焼の関係解明と制御
3)環境影響物質の生成過程と制御
・不均一燃焼場でのNOx,PM,HC生成・消滅過程の解明と制御
4) 排気浄化技術
・後処理装置の性能向上と燃焼技術との連携
5)燃料技術と燃料設計
・燃料合成法の高度化と燃料性状の多様化の可能性検討
・燃料の評価と設計

【下期/第2年目】
 個別研究を継続するとともに,得られた成果を集約し,混合気不均一の操作によるディーゼル機関の燃焼改善の方針と,その限界を明らかにする.

5. 期待される研究成果 
 熱効率,動力性能,環境性能ともに高いレベルを要求されるこれからのディーゼル機関においては,これまで以上に燃焼制御の重要性が増す.また,エンジンの運転条件,あるいはエンジンの用途や使用燃料によっても,最適となる燃焼方式の組み合わせが変化することが予想され,燃焼技術の多様化も,これからのエンジン技術の特徴と考えられる.本研究分科会では,混合気不均一の着火・燃焼と環境影響物質への関わりをより深く理解し,さまざまな燃焼条件における適切な混合制御のコンセプトを見出すことを主目的としており,その成果により実用機関の開発における燃焼系設計のよりどころとなるベースの知識をレベルアップすることが期待できる.
 また,本分科会の研究を通じて,不均一燃焼を理解する上での障壁となっている化学反応と物理的諸過程との同時進行過程の解明が進むとともに,排気後処理と燃焼技術との連携の問題,ならびに燃料技術と燃焼技術の調和の問題についても進展が期待できる.

6. 参加負担金 年額50万円 
7. 問合せ先

分科会主査:石山 拓二
 京都大学大学院エネルギー科学研究科
 〒606-8501 京都市左京区吉田本町
 TEL:075-753-4729  FAX:075-753-4729
 E-mail:  ishiyama@energy.kyoto-u.ac.jp



 


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