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RC242


 
1. 分科会名称

 『次世代高効率・クリーンディーゼル機関のための高度燃焼制御に関する研究分科会』

2. 主査名  石山拓二 (京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授)
3. 設置期間  2009年4月〜2011年3月(2年間)
4. 活動目的・内容

 
 政府によるクールアース50の提案等により益々強まるCO2排出低減の要求に加え,昨今の原油価格の高騰は,新エネルギーの開発とともに,現行の化石燃料の効率的な使用をさらに強く求める要因となっている.幅広い用途に使用されるディーゼル機関は,厳しい排気規制への対応を図っているところであるが,今後もいっそうの熱効率向上と高出力化を実現せねばならず,それによる環境性能の悪化が許されないところに継続的な技術開発のモチベーションがある.
 ディーゼル燃焼は,近年開発が進みつつある予混合圧縮自着火(PCCI)燃焼に基づく種々の燃焼法を加え,その内容が多岐に渡っている.しかしながら,その制御の要点は,混合気の濃度・温度不均一に起因する環境影響物質の生成・排出を抑制し,逆に不均一を急激燃焼の防止や着火制御のロバスト性確保などの望ましい方向に利用し,熱効率や運転性能の向上に役立たせることであるといえる.
 そのために必要な研究はこれまでも多くなされ,成果を挙げてきたが,燃焼法ならびに燃焼条件が広範囲に渡るこれからの環境条件に対応して,さらに燃焼制御の可能性を追求する必要がある.エンジンの高出力化,高・中負荷での高効率化には,拡散的燃焼を主体とする燃焼の高度化が必要である.それには,高過給や高EGR率のもとでより多くの燃料を燃焼させる必要がある.また,PCCI燃焼の原理にもとづく予混合的燃焼の割合が大きい燃焼方式の実用化は中・低負荷の排気改善に役立つことが期待されるが,この場合も,低酸素濃度,低温のもとでの高効率燃焼を実現しなければならない.いずれにしても,より過酷な条件において高熱効率と環境負荷低減を可能にする燃焼制御法の原理開発と,それを支える燃焼現象の解明が必要である.
 本研究では,係る背景から,「不均一を操る」ことを手法の骨子とし,過酷な条件における燃焼制御の方法論と多岐に渡るディーゼル燃焼の統一的理解を得ることを試み,それに基づく燃焼制御方針の立案を目指す.
 このような目的のために,研究内容を下記のような項目に分類して研究を進める.第一年目は,個別の項目について研究を実施しながら,それぞれの成果を統合してゆく作業を行う.

【上期 第1年度(2009年4月〜2010年3月)】

1)着火・燃焼の基本過程の解明
 ・均一場での着火・燃焼現象の化学過程の解明
 ・不均一場での化学反応過程の解明
 ・希薄・希釈混合気における化学反応過程の解明
2)混合気形成・着火・燃焼過程の制御
 ・不均一性を制御する混合気形成法の検討
 ・不均一性と着火・燃焼の関係解明と制御
3)環境影響物質の生成・排出過程の解明と制御
 ・過酷な雰囲気条件での不均一燃焼におけるNOx,PM,HC生成・消滅過程の解明と制御
 ・総合的な機関性能・排気の改善に関する研究
4) 燃料技術と燃料を活用した燃焼改善
 ・新燃料の可能性,燃料種・燃料性状の多様化の可能性に関する検討
 ・燃料の評価と設計
 ・燃料の活用

【下期 第2年度(2010年4月〜2011年3月)】

 個別研究を継続するとともに,得られた成果を集約し,混合気不均一の操作によるディーゼル機関の燃焼改善の方針と,その限界を明らかにする.

5. 期待される研究成果 
 熱効率,動力性能,環境性能ともにますます高いレベルを要求されるこれからのディーゼル機関においては,これまで以上に厳しい条件下での燃焼制御が必要となる.また,エンジンの運転条件,あるいはエンジンの用途や使用燃料によっても,最適となる燃焼方式の組み合わせが変化することが予想され,燃焼技術の多様化も,これからのエンジン技術の特徴と考えられる.本研究分科会では,混合気不均一の着火・燃焼と環境影響物質への関わりをより深く理解し,さまざまな燃焼条件における適切な混合制御のコンセプトを見出すことを主目的としており,その成果により実用機関の開発における燃焼系設計のよりどころとなる知識をレベルアップすることが期待できる.
 また,本分科会の研究を通じて,不均一燃焼を理解する上でのネックとなっている化学反応と物理的諸過程との同時進行過程の解明が進むとともに,燃料技術と燃焼技術の調和の問題についても進展が期待できる.

6. 参加負担金  50万円(年間)×2年 
7. 問合せ先

 分科会主査: 石山拓二
  京都大学大学院エネルギー科学研究科
  〒606-8501 京都市左京区吉田本町
  TEL: 075-753-4729 FAX: 075-753-4729
  e-mail: ishiyama@energy.kyoto-u.ac.jp



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