バイオエンジニアリング部門 メーリングリスト登録者各位                                          主査 大橋 俊朗 下記の要領にて第42回「計測と力学-生体への応用」研究会(共催)を開催いた します. 多数のご参加をお待ちしております.なお,本研究会は日本機械学会北海道支部 バイオメカニクス懇話会 第13回講演会の共催として開催いたします. *2013年4月1日より,本研究会の主査は但野 茂教授(北海道大学)から大橋 (北海道大学)へ 交代いたしました.引き続きよろしくお願い申し上げます. ---------------------------------------- 記 -------------------------- --------------                                            2013年7月15日            日本機械学会北海道支部 バイオメカニクス懇話会                   第13回講演会 (共催:日本機械学会北海道支部,日本機械学会バイオエンジニアリング部門 「計測と力学-生体への応用-」     研究会,日本生体医工学会専門別研究会「バイオメカニクス研究会」)                                 コーディ ネーター 繁富(栗林)香織                                        主査 大橋 俊朗 下記の要領にて第13回講演会を開催いたします.本講演会は日本機械学会北海道 支部特別講演会,日本機械学会 バイオエンジニアリング部門第42回「計測と力学-生体への応用-」研究会と共催 いたします.多数のご参加を お待ちしております.                          記 日 時:2013年7月24日(水),14:30〜15:50 場 所:北海道大学大学院工学研究院・工学部 大会議室A1-17室     http://www.eng.hokudai.ac.jp/building/?place=outer 講 演: 14:30〜15:00 「マイクロファイバー形状の人工組織「細胞ファイバー」  尾上弘晃 博士(情報理工学)(東京大学生産技術研究所 助教)  何かモノを作る材料の形状として,「ひも」は絡めて太くしたり,編んでシー トにしたり,二つの別の部品を 繋いだりと使い勝手が良く,ナノスケールの機能材料(カーボンナノチューブな ど)から衣服,建築物など,幅 広いサイズの日常的なモノづくりの材料として基本的な形状である.人工的な生 体組織の構築を目指す組織工学 においても,「ひも」という形状を基本的な材料として,組織を構築する手法は 魅力的である.なぜなら,血管 や神経,筋肉をはじめとする生体の重要な組織で,「ひも」形状をベースに構成 されているものが多数存在する ためである.そこで我々は,細胞組織を構築するための部品(基本ユニット)と してファイバー形状の人工組織 「細胞ファイバー」を提案している.本講演では,この細胞ファイバーの作製法 について述べるとともに,この 細胞ファイバーを培養液中で自在に操作する技術を確立し,その技術をもとに細 胞ファイバーを機械織りするこ とで,「ひも」を材料とするモノづくりが3次元組織構築に応用可能であること を示す.また,「ひも」という 形状を活かすことでの低侵襲な移植方法を提示する. 15:00〜15:30 「人工細胞は創れるか?―膜タンパク質再構成法とリン脂質非対称膜作製法―」  神谷厚輝 博士(理学)(公益財団法人神奈川科学技術アカデミー人工細胞膜シ ステムグループ 研究員)  近年,ゲノム解析が終了し細胞機能解明研究の機運が高まっているが,細胞構 造の複雑さから細胞内でのタン パク質や脂質の素反応の解析は難しい.そこで,タンパク質や脂質等の生体分子 を細胞から取り出し,それらの 生体分子をバイオ素子とし,細胞膜と類似構造を有するモデル人工細胞膜(リポ ソーム)に再構成することにより, 生体分子の素反応を観察する研究が盛んに行われている.特に,細胞サイズリポ ソーム(巨大リポソーム)は光学 顕微鏡下でリアルタイムに可視化できる唯一のリポソームであり,膜タンパク質 機能解析研究や原始細胞研究に 使用されている.しかし,古典的なリポソーム作製法では,細胞膜のように非対 称なリン脂質分布のリポソーム 作製は原理上不可能であり,“より細胞を模倣した”人工細胞モデルを創成するた めに,様々な問題点を解決す る必要がある.本講演では,発表者が行ってきた研究である,バキュロウイルス を用いた配向性を維持した膜タ ンパク質再構成法と,マイクロデバイスによるジェット水流印加によるリン脂質 非対称膜リポソーム作製法を紹 介する. 15:30〜15:50 「細胞折り紙―折紙の折り畳み技術を用いた細胞の立体組織構造の構築―」  繁富(栗林) 香織 Ph.D. (北海道大学情報科学研究科 研究員)  近年,細胞を立体的に培養し,3 次元的な組織を人工的に構築する技術が,基 礎研究のみならず,新薬の開発 や再生医療などの分野で重要とされている.本講演では,高速に細胞の立体構造 を構築する方法として,我々が 行ってきた「細胞折り紙」技術について紹介する.「細胞折り紙」技術では, MEMSを利用した微細加工技術を 用いてマイクロプレートを作製し,プレート上に細胞を培養する.その後,隣り 合ったプレートにまたがって細 胞が増殖すると,細胞内部の牽引力によって,2 つのプレートが引き寄せられ 「折り紙のように折り畳む」よう に立ち上がる.この原理を利用して,立方体や正十二面体,管構造などの多面体 の展開図を工夫することにより 望み通りの多面体構造をした細胞組織を作ることが可能である.本方法は,管や 袋構造など,中空の細胞組織を 高速に作る手法に応用が可能であり,新薬の開発や再生医療,細胞を使った医療 器具への応用が期待できると考 えている. 問い合わせ先: 大橋 俊朗 北海道大学大学院工学研究院人間機械システムデザイン部門 Tel&Fax: 011-706-6424, Email: ohashi@eng.hokudai.ac.jp