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部門長挨拶


部門長

第95期部門長 藤江 裕道 (首都大学東京)

  バイオエンジニアリング部門は,日本機械学会が部門制を始めた1987年に機械力学部門,熱工学部門とともに当初登録された3部門の一つとして産声を上げました.そして昨年度は発足30年目を迎え,今年度は新たな次の1年目を歩んでいます.これまでの当部門の活動や出来事については,歴代部門長らが本冊子に語っています.そもそも部門設立は画期的な出来事だったと思います.一般的な材料や構造物等を研究対象としてきた機械学会において,生体を対象とする研究領域を部門として独立させるにあたっては,多くの抵抗があったはずです.そのような逆風の中,部門草創期に活躍された先人達のすぐれた戦略や多くの苦労があって達成されたことだと思います.そして部門設立後は,部門メンバーの優秀さと熱意によって,多くの研究成果が積み重ねられていきました.生体は切り口,スケール,捉え方によって現象や特性が変幻するため,研究の着眼点,手法,フィロソフィーも様々です.それが当部門が30年たっても色あせない理由だと思います.今や,機械学会にとって,なくてはならない部門に成長したと言えるでしょう.
  しかし,時代の変遷により部門の変革が求められているのも事実です.若手人口の減少に伴って,ほとんどの学会で会員数が減少していますし,機械学会ではさらに,部門制を敷いてから30年ほどが経ち,部門間での業務の重複や,部門の特殊化に伴う活動の縮小などの問題が表面化してきているのです.そこで機械学会執行部は,それらの問題を解決するために,各部門が以下のような運営を可能とする組織作りを目指すべきだと言っています.

  1.学術分野・技術分野を世界的にリードできる
  2.新分野,融合分野への取組みがフレキシブルに行われる
  3.本会の領域を広げ,新たな会員を呼び込める
  4.若手が活躍できる

1は全体的な目標項目で,実質的な目標項目は2,3,4です.2は,当部門そのものが新分野,融合分野で,関連領域とフレキシブルに連携してきたことから,既に達成されていると思います.3についてはある程度達成されていると思いますが,理学系,医学系領域・学会等との連携をさらに深めるとともに,医療機器メーカーなどの産業界とつながりを拡大する必要があるでしょう.4については,機械学会執行部から話が出る前に,名古屋工業大学の中村先生や首都大学東京の坂元先生からの問題提起もあり,部門独自で議論を行ってきました.そして,先日のバイオエンジニアリング講演会会期中に,「若手による次世代戦略委員会」(いわゆる若手の会)を発足させました.委員会が部門運営に実質的に関われるよう,委員会幹部を部門運営委員会メンバーに迎え,バイオフロンティア講演会の運営の一部を任せる,などのルールも決めました.この委員会の活動が軌道に乗れば,4はいい方向に向かうでしょう.若手の会の皆さんには,部門執行部が情けないなら取って代わるくらいの気概で頑張っていただきたいと思います.
  部門の変革に関する検討で,もうひとつ,機械学会執行部からの重いお達しがあります.それは執行部が,先に示した問題を解決するために,現22の部門を「領域」と「分野」に分けようとしていて,どちらを選択するか各部門に迫っているということです.「領域」は機械工学の基盤専門的な枠組みで,なんとなく四力を想起しますが,全体の基本に据えられるグループ,「分野」は「領域」をベースにして応用研究や他の研究領域との連携などを探るグループで,このふたつが縦糸と横糸になって全体構造をなす設計です.「領域」も「分野」も,振るわないと判断されれば統廃合されるというルールが敷かれます.今年度,3回行われた部門協議会では,改革方針に対し賛成,反対,旗幟不鮮明の部門がそれぞれ三分の一ほどで,予断を許さない状況です.私は,他の大きな学会と同じく,機械学会も何らかの構造改革を行わなくてはならない時期に来ていると思います.しかし,バイオ部門は運営がうまくいっていますし,そもそも,そのような単純な二次元的枠組みには収まらない特別な存在だと思っています.あえて収めるなら,もう一次元を加えて三次元構造とし,他分野とは異なる軸上で活躍する部門ではないかと.さらに言ってしまえば,大阪大学の和田先生曰く,“固体,流体,生体や!”と主張しても過言ではないように思います.この件については,機械学会執行部の考え方を正確に読み取る努力をしつつ,運営委員会で引き続き議論を重ね,2,3年かけて答えを出していくことになると思います.みなさんからのご意見をお待ちしています.

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