コラム

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日本機械学会のリーダが気軽に話題を提供するコラム欄です。
会長を含めて３人程度が交代で一年間を通して執筆します。ご期待ください。

No.5　『月下美人の謎』

（株）日立製作所　ライフサイエンス推進事業部　田口裕也

月下美人を見た事ありますか？　芳香のある品の良い花(写真)である。
7月9日(月齢28.1)の午後8時、当事業部の玄関にある月下美人の21個もの大輪が殆ど一斉に開花し、深夜までに全てが萎んだ。
昨年は、6月18日(月齢26.0)、９輪がやはり一斉に夜開花した。
いずれも新月に近い頃咲いたが、月下美人は新月が好きなのだろうか？

植物は、コルメラというデンプン粒を含む細胞で重力方向を感知し、木が真直ぐ育つよう制御されており、また、風で枝が折れたり、害虫にやられた時は、数時間以内にシグナル伝達物質が作用し、害を自ら食い止めるというストレス対応があると解明されている。
植物は、動物と違って根付いた場所からは移動できず、環境(光･水･温度など)が変化した時はそれに順応しなければならない。

植物は、その偉大な能力、環境に対応するための機能を、植物の進化の過程で得てきた。人類も植物に学ぶ点は多そうだ。

月下美人
（EpiphyllumOxypetalum）

サボテン科、エピフィルム属
花は、経１２cm位、白色、強い芳香があり、夜８時頃咲き、数時間で萎む。熱帯アメリカが原生地。

月下美人は、熱帯ジャングルが故郷で、コウモリによって花粉媒介される為に強い甘い香りの花を夜開花させるといわれる。(注)

最近、シロイヌナズナの全ゲノム配列が決定されたように、植物ゲノムの研究がさらに進み、新月の夜に一斉に咲く月下美人の謎も分かるだろう。

但し、謎を秘めた美人ほど魅力的だが。