LastUpdate 2016.10.17


J S M E 談 話 室

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JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。
本会理事が交代で一年間を通して執筆します。

No.151 「フレキシビリティとビジビリティを高めるためのヒント」

日本機械学会第94期副会長
光石 衛(東京大学 教授)

光石衛

 日本機械学会では学会のあり方について最近よく議論されている.年次大会や部門講演会などに会員が集うことに意味があることは誰も疑わないであろう.

 私がいつも出席している国際会議に「生産工学に関する国際アカデミー(The International Academy for Production Engineering, CIRP)」の会議がある.このCIRPでは,年に夏と冬の2回,メインの会議が開催される.すべての会員は,これらの定例の会議に出席を義務付けられていることもあって,私の見る限りでは会員の7~8割は出席している.最新の研究成果を発表しあうことの意味はもちろん大きいが,当該分野や関連する分野の情報交換をする意味も大きい.また,各国のしかるべき人物が会員となっており,お互いに気心が知れているので,いざとなれば直に各国の会員と情報交換できる.

 夏の会議で会期1週間の前半は半年以上前からフィックスされたプログラムに従って論文が発表されるが,後半は10程度ある部門の長が,ホットなトピックや後で記すようなキーノートをまとめるため戦略的に講演を集めてプログラムを組む.正式にはもう少し早いかもしれないが,1ヶ月位前までにweb上にプログラムを掲載すればよいので,フレキシブルにかつタイムリーに最新の話題を盛り込むこともできる.発表時間も長短の組み合わせが自由である.日本機械学会の年次大会でも部門の長がホットなトピックを企業からも集めてフレキシブルにプログラムを組めるような部分を設けてはどうだろうか.

 また,この会議では3年ほど様々な議論を経てキーノートをまとめる.その結果,従来の研究の十分なサーベイと将来への展望などがまとまれており,分量も最大24ページと多く,引用された文献も充実している.このため,当該分野の発展経緯と動向を把握するには有用であり,論文のダウンロード数も多い.

 上述の各項目について長所,短所はあるが,日本機械学会の改革において参考になることは多いのではないかと思う.

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