趣旨

  技術立国日本の製造業はこれまで,高い品質と付加価値を持つ製品を提供することで世界をリードしてきましたが,海外との激しい競争の中で優位を保つことは難しい状況にあります.とりわけ地方都市では,近年の世界的金融経済危機がもたらした影響は深刻で,地元中小企業の回復はもとより,計画されていた大企業の誘致計画も遅れている状況が続いています.このような状況の中,新しくてより魅力のある価値を持つ製品を生み出すことはさらに重要となっています.製品の高性能化,高機能化を図るとともに,短期間で開発し製造する上で,設計工学が果たす役割はますます大きくなっております.また,近年は学術領域も広範囲化し,経済・マーケティング分野,社会工学分野,人間工学分野,人工知能分野など多様な領域の研究内容が設計工学と融合し,様々な新しい観点から問題解決が議論される状況にあります.まさに,設計工学,システム工学は,これらの問題解決の方向性を指し示す,大変興味深い学術分野であると考えられます.

 本講演会は,幅広い知識と情報をシステムとして統合する設計工学分野の観点から,幅広い課題について多面的に議論する絶好の機会をご用意しています.秋の実りの季節に,多くの皆様にご参加いただき,閑静な地方都市山形県米沢市ならではのゆったりとした環境の中で,最新の研究成果の発表とそれに基づく活発な討論をしてくださいますようお待ち申し上げます.

実行委員長 大町竜哉