No.15 (ホームページ版: March, 1999,印刷版: April. 1999)


 

第8回設計工学・システム部門講演会
 「解析コンテスト」,「ラピッド・プロトタイピング・コンテスト」 受賞のご挨拶

解析コンテスト アイディア賞
「全体・詳細連成解析に関する考察」
(第8回設計工学・システム部門講演会講演論文集,pp.68-69)
立石源治(日本マーク),前田和博

 早いもので、私が有限要素法の分野に携わってから十数年経ちました。当時、FEM解析を行う上での使用環境には多くの制限があり、今思えば簡単な非線形解析でも様々なモデル化を行い、妥当な解を得るまでに何日もかかったことを思い出します。  現在では計算機及び有限要素法技術の進歩により、FEM解析は幅広い分野で多くの人に使用されるようになりました。そして、FEM解析の有用性が広く認められると共に、FEM解析に対する要求も厳しくなってきています。これらの要望のひとつに、大規模な問題を精効率良くことがあげられます。東京大学、矢川先生のご指導の基に続けて参りました、領域分割法による並列計算手法に関する研究は現在MARCプログラムの中にインプリメントされ注目を集めております。今回発表しました“全体・詳細連成解析に関する考察”も、この要望に応えるひとつの手段として考えております。この手法は、従来から行われているズーミング解析手法を改良したものです。反復計算を行うことにより、ズーミング解析で生じる誤差を修正していこうという試みです。  私どもの発表内容に対して多くの方々が興味を持って頂き、今回このような賞を受賞できたことは今後の研究開発への大きな励みになります。今後も微力ながら解析技術に対し貢献できれば幸いです。

解析コンテスト アイディア賞
「エンジン燃焼流体力学と数値シミュレーション」
(第8回設計工学・システム部門講演会講演論文集,pp.86-87)
内藤健(日産自動車)

 賞をいただき、恐縮しております。内容は、エンジン内液体燃料・空気の二相流と乱流燃焼の理論モデリングの提案です。従来は、限られた(パラメータ)条件範囲でしか使えない実験式モデルしかなかったため、様々な運転条件で使われる自動車用エンジンの乱流燃焼予測が困難でしたが、本研究で流体力学の第一原理から導出したモデルは、適用範囲が広く、普遍性の高いものとなっています。モデル中の任意定数の値も、実験データだけから決定するのではなく、部分的に理論的に決定しています。エンジンでは高温・高圧中で、ピストンやバルブ等が非定常高速運動しており、実験による可視化計測は非常に難しい場合も多いため、本モデルにより、年間100ケースを超えるバリエーション計算検討を行って、直噴エンジン等の環境対応型低燃費・低公害エンジンレベルアップのための新たなヒントを得ています。

解析コンテスト アイディア賞
「非線形有限要素法による宇宙マストの折り畳み・展開解析」
(第8回設計工学・システム部門講演会講演論文集,pp.99-100)
野口裕久(慶應義塾大学),久田俊明(東京大学)

 この度は、設計工学・システム部門講演会解析コンテストにおいてアイデア賞をいただき、大変光栄に思っております。当初は「何か面白いことをした人に与えられるような賞」のような感じがして非常に照れ臭かったのですが、ある先輩から「この賞こそこれからの日本に求められているものだ」とアドバイスを受け、大変な賞をいただいたのかも知れない、と今ではすっかり恐縮しています。  宇宙マストの畳込・展開解析は、今から9年前に宇宙科学研究所の三浦公亮先生にご講演していただいたのきっかけに始めたものです。弾性座屈を利用し、ねじりモードを曲げモードを変換することでマストを畳み込む構造や、畳み込んだ後の弾性エネルギーだけで自己展開する、そのバランスのとれたスマートな構造に非常に驚いたのを記憶しています。ちょうど座屈の制御をテーマに研究を進めていたころで、このような現象が計算機上で実現できれば、と思い始めました。ところが、「言うは易し行うは難し」とはまさにこのことで、実際には数秒程度の現象を、まともに解析できるようになるまでに何年も要しました。それこそ皆でアイデアを出しあってようやく解析できたものとだ思います。  最後に、この解析は、日本飛行機株式会社の岡崎覚万氏の貴重な助言や、当時東大先端研の大学院生であった舩引浩平氏や高倉秀和氏の連夜にわたる努力なしでは実現できませんでした。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

ラピッド・プロトタイピング・コンテスト アイディア賞
「ラピッドプロトタイピングのためのメッシュ細分割処理」
(第8回設計工学・システム部門講演会講演論文集,pp.39-40)
山本徹也(東京大学),鈴木宏正,金井崇(理化学研究所),木村文彦(東京大学)

 この度は、立派な賞を授賞いただき誠にありがとうございます。RPに関しては、新しいプロセスや材料の開発などが進んでいますが、精度向上や使い勝手の上では、CADとの連携を中心としたソフトウェア技術の開発も重要であると思います。本研究は、CADから送られてきたRP用の形状データの精度や滑らかさが不足する場合に、CADの原データを使わずに、RP側だけで精度改善を行う手法を提案しております。すなわち、RP装置側の形状処理ソフトウェアとして機能することを目指しています。
 今後、RP技術は3次元CADと共に、ますますデジタルエンジニアリングの重要な要素となると思われます。この受賞を励みとして、今後も研究に精進し、この分野の発展に少しでも貢献して参りたいと考えております。末筆ですが、RP模型を製作していただいた(株)アルモニコスに謝意を表します。


 

表彰委員会より
 1999年度 設計工学・システム部門賞(功績賞、業績賞)受賞候補者推薦のお願い

 1999年度設計工学・システム部門賞(功績賞、業績賞)は、11月に開催する第9回設計工学・システム部門講演会のときに贈呈を行う予定です。会員各位からの受賞候補者をご推薦くださるようお願いいたします。

1.部門賞の種類

(1) 功績賞
 功績賞は学術、技術、教育、学会活動、出版、国際交流などで本分野の発展と進歩に幅広く、また顕著な貢献のあった個人(原則として本会会員)に対して贈られます。
(2) 業績賞
 業績賞は本分野で顕著な研究、または技術開発の業績をあげた個人に対して贈られます。

2.範囲

 業績賞の対象となる業績は、過去3年内の機械学会論文集の中の設計工学・システム部門に関連する論文や部門の主催または共催する講演会の講演論文集、国際会議、シンポジウム等のProceedings等とします。

3.推薦期限

 1999年3月31日

4.推薦方法

 各賞候補を推薦してくださる方は、賞の種類、候補者氏名、所属、住所、贈賞理由、推薦者氏名、推薦者連絡先を明記の上、郵送、FAX、電子メールのいずれかの方法で提出してください。

5.宛先

 〒113-8656 東京都文京区弥生2-11-16
 東京大学インテリジェント・モデリング・ラボラトリー
  小木哲朗
 Tel: 03-3812-2111(内8983)
 Fax: 03-5802-4860
 Email: tetsu@iml.u-tokyo.ac.jp


 

講演・論文募集


第9回設計工学・システム部門講演会 講演・論文募集
Design and Systems Conference '99
統一テーマ:−21世紀に向けて設計,システムの革新的飛躍を目指す!−

(設計工学・システム部門 企画)

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第9回設計工学・システム部門講演会 解析コンテスト 発表募集

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第9回設計工学・システム部門講演会 ラピッド・プロトタイピング・コンテスト 発表募集

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行事案内

日本学術会議 50周年記念シンポジウム「設計の質的転換」 参加募集

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テクノピア'99東京「デジタル生産システムフェア」
先端技術フォーラム「新世紀のデジタルデザイン」 参加募集

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第17回設計シンポジウム

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発行日:平成11年4月10日

このニュースレターに関するご意見、ご希望、お問い合せ等は、下記までお願いいたします。

日本機械学会設計工学・システム部門
(部門ホームページ http://www.jsme.or.jp/dsd/)
広報委員長 村上 存
  〒113-8656 東京都文京区本郷7‐3‐1
  東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻
  Tel: 03(3812)2111 内線6327  Fax: 03(3818)0835
  Email: murakami@mech.t.u-tokyo.ac.jp
学会担当職員 大室 孝幸
  〒160-0016新宿区信濃町35番地信濃町煉瓦館5階
  Tel: 03(5360)3504  Fax: 03(5360)3507

編集・印刷:生々(せいせい)文献サービス
東京都渋谷区千駄ヶ谷 3-13-22-410
電話03-3478-4062, Fax 03-3423-4338


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