発行:2015/5/29 (2015/6/24更新)

このページでは,設計工学・システム部門 Newsletter No.42の内容をお届けします (2015年 5月発行) .

ページ製作・編集 D&S広報委員会

1. 第93期部門長・副部門長就任のご挨拶
  • 第93期 部門長 渡辺富夫(岡山県立大学)

  • この度,第93期部門長の大役を務めさせていただくことになりました.細野繁 副部門長,柳澤秀吉 幹事をはじめ,運営委員会委員,事務局員の皆様とともに,さらなる部門及び学会の発展に向けて尽力致します.何卒よろしくお願い申し上げます.
    私は機械工学出身ではありますが,大学院に入った1978年にコミュニケーション研究の基盤として,母子間の原初的インタラクション・コミュニケーションに興味を持ち,母親の語りかけに対して乳児の手足の動きの引き込みを音声・画像解析して,そのインタラクションのメカニズムを人と情報機械のインタフェース設計に活かそうと試みました.人間社会システムを形成する最初の基盤ともいうべき母子間での言葉のバーバル情報(コード化情報)と行動のノンバーバル情報(非コード化情報)の関係性の解明は,母子相互作用というヒューマンインタラクション研究にとって重要なテーマでしたし,また,システム工学の観点からも,分娩により母子がハードウェア的に分離するが故にソフトウェア的にシステムとして強くつながる必要があり,それにはコミュニケーションが要で,人間の本性に適応した機械の設計やインタフェースといった人間と機械の関係,当時でいうマン・マシン・インタフェースの研究として重要であると考えたからです.
    この身体的コミュニケーションの魅力に取り憑かれて早37年になりますが,この間,母子間インタラクションから成人間インタラクション,集団インタラクションの引き込みを合成的に解析して,うなずきや身振りなどの身体的リズムの引き込みをロボットやCGキャラクタのメディアに導入することで一体感が実感できる身体的コミュニケーション技術(身体的引き込み技術)と,メディア場にはたらきかけることで場を盛り上げる身体性メディア場の生成・制御技術を研究開発してきました.本システム・技術は,ロボット・玩具,コンテンツ制作,モバイル端末のインタフェース,オンラインゲーム,学習支援等,教育・福祉・エンタテインメントなど広範囲な応用が容易に可能であり,大学ベンチャー「インタロボット(株)」を立ち上げ,人とかかわるロボットやゲームソフト等に導入・実用化・商品化を進めております. また学会活動では,ものづくりの本家である本部門でヒューマンインタフェースの重要性と可能性を追求する一方で,ヒューマンインタフェース学会の設立をお手伝いし,学会長を務め,この3月まで監事を務めさせていただきました.昨年4月から大学理事に就任し,産学官連携を担当しておりますので,本部門での活動におきましても,産学官連携交流を一層推進したいと考えております.
    本部門が対象とする分野及び領域は,設計工学・設計方法論・設計学,設計知識,製品開発・情報管理,設計組織,システム工学,ヒューマンインタフェース,人工物工学の展開,新しい人工物など,極めて広範囲にわたっております.これまでの教育研究及び学会活動を活かして,人が幸せな気持ちになるのを支援する技術,感性や感動など価値を飛躍的に向上させるDelight設計など,今後の設計工学・システム技術の進展への貢献はもちろん,これまでの部門活動の活性化の波に乗って,強力に部門活動を推進していきたいと考えております.本部門が魅力ある交流の場として部門活動への皆様の積極的なご支援・ご協力を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます.

  • 副部門長 細野繁(NEC)

  • この度,副部門長に選出され,責任の大きさに身の引き締まる思いでおります.渡辺富夫部門長を始めとする運営委員,アドバイザリーボード,部門に所属する皆様とともに,さらなる部門の発展に向けて努力致します.
    私は企業でITシステムの設計方法論やライフサイクル管理の研究開発を進めております.研究開発の過程で,本部門の活動から設計工学やシステム工学の考え方を学んできました.本部門は,業種・業界を超えて,交流の場を広く提供しており,IT業界に身を置く私も大いに議論に参加させて頂いています.この場で得た知識は,IT分野・情報系の活動にも大変有効なことを実感しているところです.設計工学・システム工学の議論は,産業界に広く有用です.そこで,産業界の視点で,大学・研究機関と多分野の業界との交流を益々拡げていくよう努めてまいります.
    本部門が,より一層魅力的な交流の場になるように,皆様,是非ご支援・ご協力下さいますよう,よろしくお願い申し上げます.
2. D&S2014の開催と第92期部門賞・部門表彰
    2014年9月17日(水)〜19日(金)にかけて,徳島大学 常三島キャンパスにおいて,第24回設計工学・システム部門講演会が開催され,非常に多くの参加者を集めました.本講演会の2日目には,部門賞・部門表彰が行われ,次の方々が表彰されました.(開催報告および受賞のコメントは,D&S部門WebサイトのニューズレターNo.41増刊号と受賞者のページをご覧下さい)
  • 第92期部門賞・部門表彰
    • 部門功績賞 伊藤宏幸(ダイキン工業(株))
    • 部門業績賞 川本敦史((株)豊田中央研究所)
    • 部門業績賞 前川卓(横浜国立大学)
    • フロンティア業績表彰 山崎慎太郎(大阪大学)
    • 部門奨励業績表賞 乙守正樹(アイシンAW)
    • 部門奨励業績表賞 呉宏堯(明星電気(株)・(株)IHI)
    • 部門貢献賞 井上全人(明治大学)
    • 部門貢献賞 細野繁(日本電気(株))
    • 優秀講演表彰 新井翔(首都大学東京)
    • 優秀講演表彰 内海朱里(HIS)
    • 優秀講演表彰 戸田康太郎(大阪大学)
    • 優秀講演表彰 矢地謙太郎(京都大学)
    • 部門表彰(D&Sコンテスト 優秀表彰) 高橋颯太,岩崎誠和,藤田光伸,森孝男,玉木基裕,佐野明彦,谷洋紀,早川明宏,井上全人(明治大学)
    • 感謝状 山崎光悦(金沢大学)
3. 設計工学・システム部門講演会 D&S2015開催案内

    日本機械学会 設計工学・システム部門は,第25回設計工学・システム部門講演会を,2015年9月23日(水)〜25日(金)に信州大学 長野(工学)キャンパス(長野県長野市若里4-17-1)にて開催いたします.
    生産や経済だけでなく地球環境保全からグローバル化が急がれる現在,分野の垣根を越えて様々な関連事項を統合し,地球規模で環境負荷を最小にするシステムを最適化する必要があります. このような未来をつくり出し,システムを構築することができる技術分野を備えている設計工学・システム部門の活躍がますます期待されます. 機械工学のみならず広い学術分野にわたって議論が展開される部門講演会での活発な討論と,大学・研究機関のみならず企業の方が多く参加される情報交換により, 皆さまの研究・技術開発に役立てていただけることを期待しております.
    是非,多くの皆様にご参加いただき,最新の研究成果の発表とそれに基づく活発な討論をしてくださいますようお待ち申し上げます.(詳細は,こちらをご覧ください.)

4. D&S部門主催 講習会・講演会開催報告

設計工学・システム部門では,学術の成果を還元するべく,設計に役立つ技術や,システム開発を加速する手法に関して,講習会・講演会を行っています.本特集では,最近行われました講習会・講演会の報告をご紹介します.

今後も,部門主催の講習会を随時開催してまいります.どうぞ奮ってご参加ください.

5. 関連する国際会議・シンポジウム 開催案内