発行:2019/1/7

このページでは,設計工学・システム部門 Newsletter No.50の内容をお届けします (2019年1月発行) .

ページ製作・編集 D&S広報委員会

1. 第28 回 設計工学・システム部門講演会(D&S2018) 開催報告

    第28回設計工学・システム部門講演会(D&S2018)が読谷村文化センター (沖縄県読谷村)にて開催されました。読谷村関係者の多大なるサポートを得て、盛況のうちに終了しました(写真1〜3)。


    写真1 琉球衣装に身を包んだ部門幹部メンバー

    写真2 読谷村長によるご挨拶

    写真3 音楽に合わせて踊る講演会参加者

    本部門講演会のセッション、イベントの開催報告については以下をご覧ください。
  • [OS1] 製品設計開発のためのモデリング・方法論・マネジメント I
  • 【座長:岩田剛治(阪大)、副座長:森永英二(阪大)】
    本セッションでは合計4件の発表があった。オープニングセッションにもかかわらず、多くの方に参加いただいた。講演は設計初期段階での外乱や不確定要素に対しての頑強性設計に関する研究で、1件目の発表では、設計プロジェクトにおける設計タスクの追加の影響を線型モデルで仮定して、その影響を最小とする方法が紹介された。2件目の発表ではサプライチェーンと製品系列の同時設計問題に関する研究で、最適性と頑強性の関係に着目することにより、コーヒーメーカーを例にその高い効果が報告された。3件目と4件目は取り得る設計代替案を広く抽出し、設計を絞り込んでいく手法で、3件目は設計者の意図を可視化することにより多様な範囲解を導出・評価することにより設計者の意志決定を支援する手法が提案され、4件目は熟練設計者の意志決定に必要な情報をシミュレーションなどから得られる1次的な情報を意味情報に買えるプロセスをシステム化により意志決定を支援する手法が提案された。
    これまでの設計理論の成果を踏まえた上で、今後、このような研究が私たちの設計の品質向上を進めてくれることに期待したい。
  • [OS1] 製品設計開発のためのモデリング・方法論・マネジメント II
  • 【座長:大泉和也(東大)、副座長:森永英二(大阪大)】
  • [OS1] 製品設計開発のためのモデリング・方法論・マネジメント III
  • 【座長:小林孝(三菱電機)、副座長:往岸達也(産総研)】
    本セッションでは製品設計開発におけるモデリング・方法論に関して4件の発表があり、活発な議論が行われた。講演2401ではインテリジェント設計製造プラットホームの基礎検討とし偏微分方程式を基軸とした数式ベースでの設計・製造シームレス化構想が紹介され、今後の進展が期待される。講演2402ではトポロジー最適化を用いた機械構造物の構想設計法の提案と普及活動を通じて整理された課題、今後の展望が紹介された。講演2403では3次元型紙設計に微分幾何学ベースの変形形状モデリング手法を適用した効率化事例が、講演2404では航空機用ワイヤーハーネスの自動結束を目指した結び工具の設計事例が報告され、それぞれ設計開発・製造工程の脱職人化や自動化に向けた進展・広がりが期待される。
  • [OS1] 製品設計開発のためのモデリング・方法論・マネジメント IV
  • 【座長:山田崇恭(京都大学)、副座長:野間口大(大阪大)】
    本セッションでは合計4件の研究発表があった。具体的には、モデルベース設計の研究、システムモデルの階層化の方法論と階層化型多目的最適化手法の研究、システム開発における手戻りの低減化を可能とする安全分析の研究、自動車駆動システムを対象とした将来構想の提言に関する発表があり、活発な議論が行われた。いずれの発表も将来性があり、今後のさらなる深化、より具体的なシステム設計問題への展開が期待される。
  • [OS1] 製品設計開発のためのモデリング・方法論・マネジメント V
  • 【座長:森永英二(大阪大)、副座長:若松栄史(大阪大)】
    本セッションでは3件の発表が行われた。1件目は、自分が考えようとしていることを現実の社会環境の文脈で位置付けるためのツールに関する発表、2件目は、製品の個々の利用シーンを考慮した計算機設計支援手法に関する発表であり、設計対象の外界との関係性を考慮した設計に関するものであった。3件目は、顧客ニーズといった定性的データと定量的データとを組み合わせた協調的最適化を行う手法に関するものであり、定性的データと定量的データとが豊富に存在するIoT時代を踏まえた設計に関するものであった。いずれも大変興味深い内容であり、活発な議論が行われた。
  • [OS2] 設計と最適化 I
  • 【座長:西脇眞二(京大)、副座長:藤井雅留太(信州大)】
    本セッションでは、最適設計に関する4件の講演発表があった。1件目は、単振り子により船体のローリングモードを振り回せ、レール上で双円錐の往復運動を持続させることにより、波力発電を行うシステムについて、2件目は、1D-CAEのコンセプトのもと、電動機用冷却ファンの形状最適化を行った方法論について、3件目は、摩擦係数のコントロールを目的とした表面テクスチャリング設計方法について、4件目は、再使用宇宙輸送機の機体形状設計法についての講演で、それぞれ実用的な設計法の提案であり極めて興味深いものであった。
  • [OS2] 設計と最適化 II
  • 【座長:下田昌利(豊田工大)、副座長:荒川雅生(香川大)】
    本セッションでは最適設計に関する4つの研究、すなわち@ドローン画像から樹木の3Dモデルを構築する内容 A多数の評価関数を有する自動車車体の最適設計に関する内容 Bトポロジー最適化結果の力学的解釈に関する内容 C不確実性を考慮した宇宙構造物の設計法に関する内容 の発表があった。いずれも従来手法を基にした応用、発展的な研究であった。最適設計手法の工学、工業的応用の裾野の拡がりを感じた。
  • [OS2] 設計と最適化 III
  • 【座長:荒川雅生(香川大)、副座長:小木曽望(大阪府大)】
  • [OS2] 設計と最適化 IV
  • 【座長:泉井一浩(京大)、副座長:西脇眞二(京大)】
  • [OS2] 設計と最適化 V
  • 【座長:藤井雅留太(信州大)、副座長:下田昌利(豊田工大)】
  • [OS2] 設計と最適化 VI
  • 【座長:小木曽望(大阪府大)、副座長:泉井一浩(京大)】
    本セッションでは、最適設計の中で特に進化計算法に特化した3件の最新成果が発表された。うち1件は実際の設計問題への応用であり、大規模な離散設計変数からなる問題への適用であり、定式化の工夫、パラメータ選定の工夫が重要なカギを握っていることがわかった。残りの2件は、実際の問題を念頭において、多目的最適設計における親選択パラメータや指標がおよぼす影響を包括的に調べた研究であり、今後の発展が期待される。
  • [OS3] 設計とAI・知識マネジメント I
  • 【座長:村上 存(東大)、副座長:綿貫 啓一(埼玉大)】
    本セッションでは、コンピュータを活用した人間の知識のマネジメントや人工知能を用いて、新たな設計、優れた設計を実現することを目指す、3件の研究が報告された。トポロジー最適化とニューラルネットワークを組み合わせ、生成される設計代替案の構造化と新たな設計コンセプトの抽出を行う研究、部品・製品と環境間の影響関係を階層的・因果的に関連づけて管理するCADアーキテクチャにより、雨水や日光など使用環境の影響に関する見落としをなくす設計を支援する研究、決定木とニューラルネットワークを組み合わせたデータの解析により、不良品の発生予測や不良品判定を行い生産性の向上を試みる研究など、いずれも有用な目的に対して興味深いアプローチがとられており、今後の展開が期待される。
  • [OS3] 設計とAI・知識マネジメント II
  • 【座長:綿貫 啓一(埼玉大)、副座長:村上 存(東大)】
  • [OS4] ライフサイクル、サービス、タイムアクシスのシナジーI 〜サービス設計
  • 【座長:井上 全人(明大)、副座長:村田 秀則(阪大)】
  • [OS4] ライフサイクル、サービス、タイムアクシスのシナジーII 〜時間
  • 【座長:根本 裕太郎(都産技研)、副座長:木下 裕介(東大)】
    本セッションでは、「時間」をキーワードとした設計支援手法について、4件の研究報告があった。1件目の講演では、時間変化に伴う価値認識の変化を表現する手法が、3件目の講演では、価値認識の変化の背後にあるコンテキストの変化を表現する手法が提案された。一方、2件目の講演では機能価値低下に対応するアップグレードを低環境負荷・低コストを実行するための製品アーキテクチャ設計手法が、4件目の講演では市場にある製品のライフサイクル段階を推定するシミュレーション手法がそれぞれ提案された。以上のように、ユーザの認識と製品の状態の時間変化をモデル化する、その変化に対応できる製品・サービスを設計するといった2つのアプローチから研究が進められている。今後の発展に期待したい。
  • [OS4] ライフサイクル、サービス、タイムアクシスのシナジーIII 〜価値
  • 【座長:加藤 健郎(慶應大)、副座長:原 辰徳(東大)】
    本セッションでは、ステークホルダーの文脈(コンテキスト)に着目し、価値共創や高付加価値化を実現するためのサービスデザインに関する講演、自動車のシェアリングサービスに関するライフサイクルのシナリオ分析に関する講演、複数の顧客セグメントを想定したライフサイクルオプションの評価指標に関する講演が行われた。いずれも大変興味深い内容であり、活発な議論が行われた。
  • [OS5] 創発デザインの理論と実践
  • 【座長:加藤健郎(慶応大)、副座長:佐藤浩一郎(千葉大)】
    本セッションでは、創発の概念に基づいて形状を自己組織的に導出する多様解導出システムに関する講演と、近年注目されているGenerative Designの研究論文の特徴分析に関する講演が行われた。これらの研究は、Additive Manufacturing技術やAI技術の発展により益々期待される研究分野であり、今後の進展に期待したい。
  • [OS6] 感性と設計T
  • 【座長:山崎美稀(日立製作所)、副座長:柳澤秀吉(東大)】
  • [OS6] 感性と設計U
  • 【座長:柳澤秀吉(東大)、副座長:山崎美稀(日立製作所)】
    「感性と設計」は2セッションあわせて、計7件の講演があった。前半では、新奇性に対する感情の数理モデリング、主体感(Sense of agency)にもとづく操作系の設計、自動運転のリスク感の定量化に関する発表があった。後半では、デジタルヒューマンを応用したユニバーサルデザイン手法、デジタルヒューマンの姿勢生成手法、視覚情報が歩行の駆動力や制動力に与える影響、複雑さを指標とする形状生成システムに関する研究の発表があった。
    このように、基礎科学研究から応用研究に至る多様な研究成果の発表が行われ、多くの参加者から活発な質疑があった。D&Sにおける本セッションは今回で20周年を迎えた。特にここ最近は、産業界からの要請も高まり、学術研究も活発化している印象がある。継続は力なり。今後も、恒久的に継続すべきセッションである。
  • [OS7] EmotionとDesign I
  • 【座長:見崎大悟(工学院大)、副座長:福田収一(慶応)】
    本セッションでは3件の研究発表がおこなわれた。主な議論は、時代とともに変わっていくDesignのあり方について研究発表および討論がおこなわれた。21世紀の産業構造の変化に対して、適切な工学教育をおこなうためには、本セッションのような議論およびデザインに関する基礎研究が非常に重要であると考えられる。
  • [OS7] EmotionとDesign II
  • 【座長:上田一貴 (東京大学)、副座長:福田収一 (慶応義塾大学)】
  • [OS8] ヒューマンインタフェース・ユーザビリティI
  • 【座長:小木哲朗(慶應大)、副座長:渡辺 富夫(岡山県大)】
  • [OS8] ヒューマンインタフェース・ユーザビリティII
  • 【座長:渡辺 富夫(岡山県大)、副座長:小木哲朗(慶應大)】
    本セッションでは、人間の感覚・知覚・認知特性や行動特性などに基づいて、情報機器を介してのインタラクション・コミュニケーション支援や行動支援、直感的な操作性の向上など新たなシステムの提案や開発に関して3件の発表があった。萌芽的な研究から応用研究まで、いずれも興味深い研究発表であった。とくに「パーソナルスマートデバイスに向けたワイヤレス HMD の開発」は、ワイヤレス化により行動の制約から解放され利便性の高いプロトタイプシステムを提案するもので、新たな研究展開への重要なツールになることが大いに期待される。
  • [OS9] 設計教育
  • 【座長:大久保雅史(同志社大)、副座長:福田収一 (慶應大)】
    設計教育のセッションでは4件の発表があった。最初の発表は、設計教育にデザイン的思考を取り入れる試みについてであり、多様な考えが設計教育に重要な役割を果たすことについてケーススタディを踏まえて述べている。2番目の発表は、VR技術を用いた切削加工技能学習支援システムに関する内容で、VRを用いることで、学習に対する理解度や意欲が増すことを示した。3、4件目の発表は、設計教育だけでなく設計そのもののあり方がIoTやAIといった情報技術により変化する可能性を示しており、おおいに考えさせられる内容であった。
  • [OS10] グローバルデザインI
  • 【座長:伊藤照明(徳島大)、副座長:井上全人(明治大)】
  • [OS10] グローバルデザインII
  • 【座長:綿貫啓一(埼玉大)、副座長:伊藤照明(徳島大)】
  • [OS13] 設計理論・方法論、多空間デザインモデル
  • 【座長:佐藤浩一郎(千葉大)、副座長:加藤健郎(慶應大)】
    「設計理論・方法論、多空間デザインモデル」では、設計に関する理論・方法論を話題とした2件の講演が行われた。1件目の講演では工学部におけるデザイン思考に関する授業効果について、2件目の講演では多空間デザインモデルに基づく工学設計領域とデザイン領域における研究対象の特徴分析に関する話題をご提供いただいた。また、質疑においては、デザイン思考の教育に対する効果や、国内外における工学設計領域とデザイン領域の特徴の違いに関する活発な議論がなされた。
  • [OS14] 情報・知能・システムデザインI
  • 【座長:細野繁(NEC)、副座長:中村匡秀(神戸大)】
  • [OS14] 情報・知能・システムデザインII
  • 【座長:細野繁(NEC)、副座長:中村匡秀(神戸大)】
  • [OS15] 農業×情報×シミュレーション
  • 【座長:北栄輔(名大)、副座長:西内俊策(名大)】
    発表件数は4件で、講演者や座長を含めて10名程度の参加者があった。会場が役場に隣接しており、近くにJAのマーケットもあったことから提案した。しかし、分野が機械工学分野から少しはなれたテーマを扱っていることから、議論が十分に盛り上がらなかったのは残念であった。
  • [GS1] 一般セッションT
  • 【座長:佐藤浩一郎(千葉大)、副座長:加藤健郎(慶応大)】
    本セッションでは、溝形開断面梁のねじりと曲げが複合した座屈現象の数理モデル化、3Dプリンタを用いたパラドックスプラネタリギヤの動力伝達効率向上に関する研究、および部分と全体の関係に注目した周波数応答関数を利用した新たな設計方法に関する2件の講演の計4件の講演が行われた。質疑応答では、今後の3Dプリンタによる造形利用の可能性や自動車部品への応用に関する話題が中心となり、活発な議論がなされた。
  • [GS1] 一般セッションU
  • 【座長:加藤健郎(慶応大)、副座長:佐藤浩一郎(千葉大)】
  • [DSC] D&Sコンテストショートプレゼンテーション
  • 【座長:福重真一(阪大)、副座長:村田秀則(阪大)】
  • 特別講演1
  • 「読谷山花織りを咲かせた人達」
    池原 節子(読谷山花織事業共同組合 理事長)
  • 特別講演2
  • 「IoT/AI/VR技術を活用した人に優しい機器の設計・開発事例」
    綿貫 啓一(埼玉大学 大学院理工学研究科 戦略的研究部門感性認知支援領域 教授)
  • 特別講演3
  • 「沖縄における鉄鋼材料の腐食」
    押川 渡(琉球大学 工学部工学科 エネルギー環境工学コース 教授)
  • 特別講演4
  • 「不確定性を考慮した最適設計のこれから」
    小木曽 望(大阪府立大学 工学研究科 航空宇宙工学分野 教授)
  • ワークショップ1「様々な視点からデザインを考える-アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアでの経験から」
  • 【報告:福田 収一】
    このワークショップでは、今後デザインを発展させるためには様々な視点からデザインを考えることが重要であるとの視点から、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどでデザイン教育、学習を見聞し、あるいは携わった経験を持つ4名から話を聞いた。なお、日本ではデザインを狭く解釈しているが、世界的にはデザインは、日本の企業で言えば設計部門だけではなく、企画、開発、マネジメントも含む広い概念である。したがって、とくに新市場の開発を目指す企業にとってデザインは必要不可欠である。
    最初に福田収一から企画の趣旨説明の意図もあり、Stanford UniversityでConsulting Professor、 Visiting Professor、 Visiting Researcherなどとして携わった経験からアメリカのデザイン学習について報告があった。アメリカはPragmatismの国、開拓の国である。したがって、試行錯誤が基本となる。試行錯誤を繰り返しても結果がよければすべてよしの国である。日本のように方法論にこだわり、またその方法論を教えることを主眼とする、教育基本の国とはまったく異なる。アメリカでは自分で学習することが基本である。教員は自己学習の支援が重要な責務となっている。
    2番目に見崎大悟先生(工学院大学)からStanfordで研修した1年の経験、さらに先生が開拓されたドイツのUniversity of PotsdamのHasso Plattner Institute of Design 、そしてHasso Plattnerの会社であるSAPとの協働研究について報告があった。見崎先生はアメリカとはまったく異なるデザイン教育の国、日本で、いかにアメリカのデザイン学習を活用して新しいデザイン教育を開始しようとしているかをお話されたが非常に興味深かった。多くのアメリカの見聞録は単なるアメリカ事情の報告であり、環境が異なる日本でそれをどのように展開するかの議論がないからである。また、SAPとの産学共同の話も、こうした視点から実施されており、同じ意味で大変重要な指摘があった。
    3番目に伊藤照明先生(徳島大学)からMITのデザイン教育についての報告を主体したお話があった。たしかにアメリカでもMITとStanfordではまったく異なる。MITはリーダーの育成を基本思想しており、優秀なリーダーを育成して、既存組織のトップに据えることを考えている。すなわち、優秀な個人の育成が主眼である。一方、Stanfordは個別にはMITに勝てなくても、チームとして対抗しようと考えており、さらに個人の新規起業(Startup)の育成が基本となっている。その意味でMITでの研修に基づく報告はアメリカのデザイン教育(MITは学習よりも、むしろ教育的指向が強い)の違いを理解する上で重要であり、有益な講演であった。ただ、先生が深く関係しておられるマレーシアについてお話がほとんどなく、これからはアジアの時代であると言われているのに、聞くことができず残念であった。
    最後に柳澤秀吉先生(東京大学)からフランスのArts et Metiers、 ParisTechで研修した1年間の経験を基本に、さまざまなヨーロッパのデザイン教育、そしてそこでの課題についてお話があった。ヨーロッパというとともすれば「伝統」が頭に浮かぶ。例えばドイツはPahl and Beitzの古典的設計論にこだわっているように誤解しているが、実はヨーロッパはアメリカ以上に創造的であり、新しいアプローチが次々を産み出されていることを実感させる講演であった。特に興味深かったのは、先生が実際に共同で実施された研究を基本にヨーロッパの独自性についてお話をされたので、ヨーロッパの創造性を実感することができた。
    時間が無くなり会場と議論ができなかったのが大変残念である。参加者の方々がデザイン教育について再考する機会となったとすれば非常に幸いである。
  • ワークショップ2「タイムアクシスデザイン」
  • 【報告:松岡由幸】
    本ワークショップは、梅田靖氏(東京大学、タイムアクシスデザイン研究会主査)の司会のもと、タイムアクシスデザインについて、7名の講師による講義(下記)をもとに議論した。今回のワークショップにおいては、タイムアクシスデザインの対象、在り様、可能性、有効性といった概論のみならず、数理モデルやそれを用いた事例などが紹介され、具体的な理論・方法論に関する議論ができたことが特徴であろう。今後のさらなる展開に期待する。
    • 松岡由幸(慶應義塾大学)「タイムアクシスデザインの数理モデル考」
    • 佐藤浩一郎(千葉大学)「価値成長デザインにおける数理モデル試論」
    • 下村芳樹(首都大学東京)「イノベーションを生むタイムアクシスデザイン」
    • 寺内文雄(千葉大学)「タイムアクシスデザインの視点からの材料開発の試み」
    • 細野繁(NEC)「人間中心設計から未来の社会価値デザインへ」
    • 加藤健郎(慶應義塾大学)「マルチタイムスケールモデルに基づくデザイン」
    • 木下裕介(東京大学)「バックキャスティング思考によるタイムアクシスデザイン」
2. 部門関係表彰
    本部門では設計工学、システム工学など分野の発展を奨励するために、部門賞(功績賞と業績賞)と部門表彰(フロンティア業績表彰、奨励業績表彰と部門貢献表彰)を設置しています。D&S 2018の会期中に表彰式が挙行されました(写真4)。
    部門関係受賞者ページに2018年度の表彰者の方々のリストを掲載しました。


    写真4 受賞者の集合写真
3. 講習会 開催報告
4. 部門関連イベント 開催案内