2022年度 部門長
 井田 民男(近畿大学 バイオコークス研究所)

2022年度部門長 就任挨拶
2022年度の活動に向けて

1. はじめに

 この度2022年度の第100期環境工学部門長を拝命しました近畿大学バイオコークス研究所の井田です。よろしくお願い申し上げます。

 環境と地球は、そこに住む全ての民が大きな岐路と判断に差し迫られている。令和 3 年 11 月にグラスゴーで開催されたCOP26世界リーダーズ・サミットでは、「世界の平均気温の上昇を 1.5℃に抑える努力を追求することを決意する」ことが明記されました。

  これを受け我が国は、気候変動という人類共通の課題に、総力を挙げて取り組む決意を表明した。その中で、2050 年カーボンニュートラルに向け新たに策定した長期戦略の下、2030年度に、温室効果ガスを2013年度比で 46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け挑戦を続けていくことを約束した。

 特に、注目すべく発言は、我が国がアジアを中心に、再生可能エネルギーを最大限導入しながら、クリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を創り上げることを目指すとしています。

 具体的には、2 兆円のグリーンイノベーション基金を活用し、電気自動車普及の鍵を握る次世代電池・モーターや水素、合成燃料の開発を進める計画をしている。

 グリーン成長戦略では、今後成長が期待される14分野において各分野で目指すべき高い目標を設定すると同時に、予算、税、規制・標準化、民間の資金誘導など政策ツールを総動員して企業等の取組を全力で後押ししていくことを掲げています。

 日本機械学会は、学術的な研究のみならず産業界が抱えるカーボンニュートラル社会実現に向けた取り組みを加速し、その貢献が求められていると考えています。中でも、環境工学部門は、この気候変動という人類共通の課題に対する研究、技術開発を真正面から挑戦するポジションにあり、産官学のさらなる連携が重要な鍵となっています。

2. 2022 年度の環境工学部門の取組

 本環境工学部門は、4 つの技術委員会から構成されており、各技術委員会が特徴のある活動を展開しています。

 第 1 技術委員会では、人間の生活環境における騒音や振動技術講習会を最新のトピックスを取り上げ企画し、また環境にやさしい夏休み親子向けイベントで理系に興味を抱くような活動を活発的に企画したり、音・振動快適化技術と新しい評価法研究会では、自由闊達な議論の場を展開したりしています。

 第 2 技術委員会では、廃棄物処理と法工学の連携を計り、幅広い研究者、技術者が新しい工学倫理を構築する活動を企画しています。

 第 3 技術委員会では、大気環境・水環境分野を対象として、主に環境汚染物質の放出抑制・防止技術に関わる研究者や技術者の交流の場をさらに発展的に広げる活動を展開しています。

 第 4 技術委員会では、環境保全型エネルギー技術を掘り下げさらに、発展的な活動を行っています。特に、夏休み親子向け行事での小学生と中学生へのエネルギーを体感できるセミナーの発展やNEE(Numerical Environmental Engineering)研究会を中心とする横断的な活動を通して社会貢献しています。

 このように環境工学部門は、差し迫った社会問題の解決のため工学を通して横断的に研究開発し、地球環境保全を規範とした SDGs の目標達成に向けた活動を行っています。ご興味のある研究者、技術者等は、ぜひご参加頂きたくお越しください。

 特に、環境工学部門では、研究発表の公表の場として SEE(環境工学総合シンポジウム)と IWEE(環境工学国際ワークショップ)を企画しています。2022年度は第32回SEE(高松)で、2023年度はIWEE2023を企画しています。

 新型コロナの影響をまだまだ、予断を許さない状況ですが、感染対策に万全を期して開催する所存ですので、ご参加、ご聴講ならびご協力のほど宜しくお願いします。

3. 第32回環境工学総合シンポジウム 2022

2022年7月7日(木)〜7月8日(金)
会場:レクザムホール

 高松市は、四国北東部、香川県の中央に位置する市で、人口約 42 万人の県庁所在地です。南の四国山地と北の中国山地に挟まれ、温暖で降水量が少なく日照時間の多い瀬戸内型気候で四季を通じてコンベンションの開催には最適な都市です。四国の玄関として大勢の人が行き交う JR 高松駅はサンポート高松や高松港が集まる市街地に位置しています。

 高松へのアクセスは、JR 岡山駅から快速マリンライナーにより約55分で高松駅へ到着します。この他、東京、名古屋、京都、大阪から高速バスで向かうことができます。さらに、空路は東京(羽田・成田)、沖縄と利便性の高い空港です。主な観光地として、江戸時代に歴代藩主により百年余りの歳月をかけて作られた大名庭園特別名勝 栗林公園、源平合戦の古戦場として知られる屋根の形をした溶岩台地の屋島や、日本三大水城の 1 つで海水を引き込んだお堀が特徴の玉藻公園などを観光することができます。

 多くのご参加をお待ちしております。

4. IWEE2023

 コロナ禍の影響でIWEE2022は、IWEE2023として開催する予定です。時期は、2023年7月頃を予定し、開催地は、くにびきメッセ(島根)を予定しています。

 コロナ禍の影響もあり、現地での対面講演が厳しい状況ではありますが、できる限りの感染対策を施し、万全の体制で IWEE を開催したく願っています。ぜひお越し頂きたく、島根開催の魅力をご紹介します。

 会場となるくにびきメッセは、松江市の中心部、 JR松江駅から徒歩 7分の場所にある島根県のコンベンションの中核施設です。この施設は、ハイブリット会議のためのインターネット設備や音響設備、ビデオシステム設備も充実しています。

 島根県は、歴史的な土地柄です。約 1400 年前の日本古来の製鉄法である「たたら製鉄」が「出雲國たたら風土記〜鉄づくり千年が生んだ物語〜」として日本遺産に登録されています。この奥出雲を中心として、たたら製鉄が盛んに行われ、農機具や刀などが製造され最盛期には、多くの鉄がこの地を中心とした中国山地の麓で作られていました。このたたら製鉄は、「千と千尋の神隠し」(監督:宮崎駿)でも取り上げられ、注目を浴びているスポットです。

 さらに歴史的な建造物として、出雲大社が建立されています。創立は、神話時に遡ると記述されています。現在の本殿は(国宝)、1744 年に作り替えられており、古代の神社建築様式である大社造を最も純粋に伝えている社殿です。

 また、市内には松江城があります。松江城は、全国に残る 12 城ある現存天守の 1 城です。松江城は、江戸時代かそれ以前に建立され、そのままの姿で現代に残っている特別な城です。その中でも、慶長 16 年完成の松江城天守は、近世城郭最盛期を代表する天守城として国宝に指定されています。

 さらに、日本の庭園美を極める足立美術館があります。特に、魯山人館(2020 年)は、北大路魯山人コレクションの中から厳選した 120 点の名品が展示されています。

5. おわりに

 COVID-19禍が続くなか、オンラインという大きな制限を受けながらですが、より実りある交流、情報交換場が求められています。知恵を結集し、新しい研究発表の形、交流の場の在り方を模索し、より良い技術交流が開催できるよう関係各位のご協力を頂きたく願っております。

 「環境」という幅広いキーワードの下、部門活性化をより図りつつ、より良い学会活動の実現にご協力頂きたく存じます。

 及ばずながら、皆様のご協力の下、全力で本部門の活性化と発展に尽力して参りたいと願っております。

 1年間どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

ページの先頭へ戻る

2021年度 歴代部門長一覧