講習会 流体音の制御・静粛化
【趣 旨】
情報機器や家電品の省エネ化・小型化を進めると,これらの機械装置の換気や冷却を担っている各種の流体を高速流動させるので,流体音・空力音が大きくなります.自動車や鉄道車両の高速化においても同様です.身の回りの小さな機器から,大きな産業機械やプラント設備においてまで,発生する騒音の原因の半分近くが流体音であり,利用する流動現象が高速になるほど,流体音が顕著になります.静粛な機械製品の提供のためには,流体音の制御・静粛化が不可欠です.流体音の基本メカニズムから予測方法,制御技術・低減技術までを,事例に基づいて解説します.
【題目・講師】
9.30~10.30/Ⅰ.流体音の特性と発生メカニズム
丸田芳幸(荏原製作所OB)
物体周囲の気流や配管内の流体の非定常な流動現象に伴って発生する流体音について,基本的な発生メカニズムと特性が理解できると,流体音の原因解明と制御方法の立案が可能になる。そのようなヒントになる情報を解説する.
10.40~11.55/Ⅱ.流体音の数値解析
飯田明由(豊橋技術科学大学)
流体音の数値解析には幾つかの理論と手法が公開されており,それらの長所・短所を紹介し,また,高精度なツールによる解析事例と実現象との比較から,流体音数値解析技術を使いこなすための要点を解説する.
13.00~14.15/Ⅲ.空力音の実験測定技術
丸田芳幸(荏原OB), 飯田明由(豊橋技科大)
空力音の原因同定と対策案の実証のために模擬実験が有用であり,実験装置としての低騒音音響風洞を利用する実験技術や流体と音響に関する測定技術を,経験に基づいて紹介する。
14.20~15.50/Ⅳ.流体騒音の制御・静粛化事例
丸田芳幸(荏原製作所OB)
様々な流体機械や流体システムで発生した流体騒音を制御・静粛化した事例を紹介し,その経験に基づいて,流体音・空力音の制御・静粛化技術の要点を解説する.併せて,失敗した事例の原因も紹介する.
16.00~17.00/Ⅴ.最近の空力音源制御手法
飯田明由(豊橋技術科学大学)
最新の流体計測技術と数値流体解析技術を併用して,空力音を制御する手法の最近動向やトピックスを,送風機や自動車などに於ける事例を交えて紹介する.
17.00~17.20/Ⅵ.Q & A
飯田明由(豊橋技科大), 丸田芳幸(荏原OB)
流体音・空力音に関する様々なご質問に対して,講師2名が回答致します.