優秀講演論文賞受賞

沼里 英彦
              (株)日立製作所
              ストレージシステム事業部

  この度,情報・知能・精密機器部門の優秀講演論文賞を頂き,大変光栄に存じております.また,日頃よりご指導・ご鞭撻を賜っております諸先生,諸先輩方に深く感謝しております.

  今回の受賞対象となりました講演論文は,IIP'98部門講演会で発表致しました「磁気ディスク装置におけるヘッド位置決め誤差の解析手法−セトリング応答解析−」です.本論文は,磁気ディスク装置におけるヘッド位置決め誤差の要因分析を目的として,ヘッドが目標位置に整定する際の過渡応答(セトリング応答)に対する解析手法を検討したものです.

  セトリング応答は,データアクセス性能及び磁気記録密度向上の観点から,その要因分析と改善が重要な技術課題となっております.本論文では,実験モード同定手法の1つであるProny法を応用し,セトリング応答波形を構成する複数の過渡応答モードを時間領域において同時に同定しています.また,同定した各モードの減衰率を基にしてセトリング応答波形を制御系応答と機構系応答に分離し,制御系のオーバーシュートや機構系の残留振動を明確にすることを可能にしました.機構系応答を構成する各モードの特性値(周波数,減衰率,初期振幅)に対しては,位置誤差配分設計の観点からの定量的な評価を可能にしました.これらにより,セトリング応答の改善に関する課題抽出とその定量化が可能になったと考えております.

  磁気ディスクにおける技術開発競争は非常に厳しい状況になっておりますが,今回の受賞を励みにして今後とも努力して行く所存です.また,IIP部門の活動にも積極的に参加させて頂きたいと考えております.御意見御指導の程宜しくお願い致します.

Last Modified at 2000/6/13