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講習会報告:非常時のメカトロニクス

佐賀大学 木口量夫

 2007年5月25日に日本機械学会会議室においてIIP部門主催の講習会「非常時のメカトロニクス」が開催された.

 本講習会では,知能機械システムやメカトロニクス製品の開発に携われている技術者を対象とし,災害時や緊急時等の非常時において人間の能力を超えた威力を発揮する知能機械システムやメカトロニクス技術について,特に認証,探知,安全・安心,災害救助,機械知能をキーワードに,7名の講師による6件の講演が行われた.いずれの講演においても,理論的な背景から実用化に関する話まで分かりやすく解説された.

 最初に,名古屋大学の大岡昌博准教授より「触感覚の定量化とその工学的応用」と題してご講演をいただいた.極限環境下での応用やバイオメトリクス認証への応用にも繋がる「触感覚」や「触覚センサー」について解説された.

 次に,「施設,構造物の倒壊事故の危険を探知するメカトロニクス」と題して,三重大学の野村由司彦教授より主に理論面の解説をいただき,アイレック技建株式会社の須藤佳一氏からは主に実用面での解説をいただいた.

 3番目は,電気通信大学の松野文俊教授より「ITとRTの融合による国際救助隊の構築を目指して」と題するご講演をいただいた.最先端のレスキューロボットの現状について具体的な例を挙げながら分かりやすく解説された.

 4番目は,実用化を前提としたセキュリティロボットの話として,セコム株式会社の藤井清人氏から「巡回警備ロボット・セコムロボットXとセンシング技術」と題するご講演をいただいた.完成度の高いセキュリティロボットに関して詳しい説明をいただいた.

 5番目は,「安全・安心と自動車技術」と題して,神奈川工科大学の高橋宏教授よりご講演をいただいた.運転支援の観点から自動車の知能化における課題について分かりやすく解説していただいた.

 最後に,「パワーアシストロボット」と題し,人間のパワー(運動)を増幅されるロボットシステムについて,私が解説した.特に外骨格型ロボットの機構および制御技術に関して分かりやすく説明した.

 参加者は17名(正員5名,学生12名)であり,正員の参加が少ないのが残念であったが,学生の参加者数はほぼ予定通りであった.

 貴重なご講演をいただきました講師各位,講習会参加者各位,講習会開催にご協力いただきました関係者各位に心より感謝いたします.

Last Modified at 2007/10/10