フェロー賞受賞

  東海大学 河西博人

 この度は,2007年度機械学会年次大会にて発表させていただきました「フィルムの巻き取り時におけるロール内部応力解析と張力の最適化」に対して,日本機械学会IIP部門フェロー賞を頂き大変光栄に思っております.

 受賞の対象となりました研究は,経験によって支えられてきたウェブ製造の工程に対して理論的なアプローチによる画期的な技術の開発を目指したものです.

 フィルムに代表されるウェブ製品は輸送・保存の観点から最終工程でロール状に巻き取られます.このとき巻取りロールには応力が内在しており,これが適切でないと巻ずれ,巻じわといったロールディフェクトが発生します.これまでは経験による巻取り張力の制御で内部応力を適切に保ちロールディフェクトを防止してきました.しかしながら今後登場する高機能フィルムの生産では多大な労力と経費を必要とする対応は難しいと言えます.そこで本研究では橋本教授によって示されたスラスト空気軸受の形状最適化手法を応用し,巻取り張力の最適化を提案いたしました.研究では計算により最適化された巻取り張力で巻ずれ,巻じわを共に防止できることを示しています.

 私は今年の春修士課程を修了しましたが研究は現在も新たな目標を目指して続いております.研究室のメンバーから進捗を聞くと研究に没頭していた時の苦しさと楽しさが蘇り,身が引き締る思いです.研究を通して培ったものを自分の持ち味として今後さらなる活躍ができように精進していきたいと思います.

 最後になりましたが,本研究を進めるにあたり懇切丁寧にご指導を頂きました東海大学橋本巨教授に心より感謝とお礼を申し上げます.また,共に研究した仲間と関係者の皆様に深く感謝いたします.

Last Modified at 2008/10/6