優秀講演論文賞を受賞して

同志社大学 准教授 平山朋子

 2008年3月に東京工業大学にて開催されましたIIP部門講演会におきまして、「中性子反射率法によるDLC膜/潤滑剤界面のナノ構造解析」のタイトルで講演発表をさせて頂きましたところ、このような栄誉ある賞を頂くことができました。これもひとえに支えて下さる多くの皆様のおかげです。この場をお借りし、感謝申し上げます。

 本研究では、中性子反射率法を用い、DLC膜と潤滑剤(この場合は水とアルコール)の界面の構造を調べました。その結果、親水性を有するDLC被膜と潤滑剤の界面では、潤滑剤がDLC被膜内部まで浸み込んでおり、撥水性を有するDLC被膜と潤滑剤の界面には、数nmの厚みの低密度の潤滑剤層が存在することが分かりました。さらに、摩擦試験の結果と照らし合わせることにより、それらnmオーダでの構造が潤滑下摩擦特性に大きな影響を及ぼしていることを示しました。

 もともと、界面の状態をより深く知りたいという欲求から始まった研究ですが、実のある結果が出るまでに、3年ほどの試行錯誤を繰り返しました。それにも拘らず、長い期間サポートして下さった中性子科学会の諸先生方に心よりの感謝を申し上げます。また、研究室のメンバー各位には、いつも温かく助けて頂きました。これを励みにいっそう努力していきたいと思いますので、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

Last Modified at 2009/11/5