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2009年度「IIP部門学生サマースクール」報告

前事業委員長
東洋大学 松元明弘

IIP部門では,第3回目となる学生サマースクールを,2009年9月1日(火)〜2日(水)に,埼玉県熊谷市のホテルヘリテイジリゾートにて開催しました.参加したのは4大学5研究室から学生教員を含め総勢65名で,昨年よりやや少なかったものの,盛大な会となりました.

学生サマースクールは, IIP部門で活躍している研究室の学生を対象とした企画です.通常の講演会では十分な討論の時間が取れないなど,技術的な「学生の交流の輪」が十分形成されていないのが現状です.本企画は,学生中心の発表・討論の時間を十分とることによって,学生の主体的交流形成を促そうというものです.さらに,IIP部門に関連する技術動向の講義,プレゼンテーション技術の実践,大学で得た知識を企業でどのように活用していくかといった講話を通して,幅広い知識の獲得に本企画を役立ててもらいたいと考えています.今年の内容は以下の通りでした.

【9月1日(1日目)】
(12:45 東武東上線森林公園駅集合)
13:30 - 21:00(途中,食事休憩を含む)

  1. オリエンテーション(スポーツ交流) 東松山市体育館にて
  2. IIP関連技術に関する講演2件
  3. 機械技術関連のテーマ(当日発表)に対するグループ討議

【 9月 2日(2日目)】
9:00 - 12:00 機械技術関連のテーマに対するプレゼン大会
(12:30 現地解散)

学生サマースクールは前述のとおり3回目ですのでスケジュールはほぼ固まっており,例年通りスポーツで交流をしてある程度打ち解けてからグループ討議に進みます.所属大学が分散するように作成した部屋割りに沿ってチームを構成し,ソフトバレーで交流を行いました.ソフトバレーはスポーツの得意な人とそうでない人の差が出にくいため,それぞれが楽しむことができ,勝負をつけることでチーム内の結束力が高まりました.

場所をホテルに移してからは,まず吉田和司部門長(日立製作所)と鈴木健司先生(工学院大学)による講演を聴講しました.吉田部門長には,IIP部門の紹介と共に,企業の研究所で働く意義や喜び・苦しみ・心構えなどを話していただきました.機械設計の基本的な考え方にも言及していただきました.また鈴木先生には,先生が長く携わっておられるMEMS(マイクロマシン)関連の研究の歴史と現状を話していただきました.写真や映像も多く,興味を喚起されました.共に学生および教員にとって,有益な講演だったと思います.

その後,幹事からグループ討議のテーマとして,「身の回りの製品の知能化」が公表されました.学生たちはこのテーマに関して夕食およびその後の時間帯を利用してグループ討議し,翌日のプレゼン大会に備えます.プレゼンでは,論理の展開をうまく構成する必要がありますし,必要な資料や裏づけも一晩で用意しなければなりません.パワーポイントによる発表技術も要求されます.グループメンバー間の役割分担も決定しなければなりません.短期集中型で,これらを経験していきます.そのため各部屋では真剣な意見交換がなされていました.一方で,せっかくの機会ですので,他大学の学生との親睦も忘れていませんでした.

日付が変わって2日目の午前.夜遅くまでの討論や交流のおかげで眠そうにしている学生もいましたが,部屋ごとのグループのプレゼンの後には厳しい質問や指摘がされるので,自分たちの番が回ってくるまでには緊張の時間を過ごしていました.普段の研究室内での討論とはまた違った緊張感を味わうことはよい経験になります.最後には5研究室の教員からの総評があり,厳しい意見だけでなく有益なコメントをもらうこともできましたので,学生たちには大きな収穫となったことでしょう.

最後になりましたが,講師をしていただいた吉田部門長と鈴木先生には厚く御礼申し上げます.興味深い話題を提供していただきながらボランティアでの講演ということで,会の運営責任者としては財政上そして教育上の観点からありがたく思います.また,幹事を担当した東洋大学の近藤君・宮内君は,前年の幹事団からのアドバイスをもらいながら非常にうまく運営をしてくれました.その努力には頭が下がります.幹事の二人以外の学生たちもよく協力してくれました.多くの人々の協力によって,今年のサマースクールも成功裡に終了することができました.来年以降もこういう地道な活動を継続していきたいというのが,参加した教員たちの共通した意見でした.

スポーツ大会(ソフトバレー) 吉田部門長の講演
   
工学院大学鈴木先生の講演 学生によるプレゼン
   
質疑応答の様子 集合写真
Last Modified at 2009/11/5