2009年度部門表彰受賞者の声

富士通研究所
中村哲一  

 この度は栄誉あるベストプレゼンテーション賞をいただき、誠にありがとうございます。受賞対象となりました「Feasibility Study of Ultra-Low Particle Content Media Overcoat Deposited by FCA Method for 2Tbpsi HDDs」では磁気ディスク装置の保護膜材料であるDLC(Diamond Like Carbon)の薄膜化をアーク蒸着法で検討し、耐久信頼性を損なうことなく膜厚半減が可能であることを報告致しました。

  アーク蒸着法はDLCの高密度堆積に大変有効ですが、アーク放電時に発生する多量なパーティクルが成膜表面へ付着する点が大きな課題でした。今回の取り組みではトリプルベンド方式の磁場フィルタを採用することで付着パーティクル数を100分の1以下まで低減し、ヘッドに比して面積が広い媒体用途においても高密度DLCが実用レベルで形成できることを実証しました。アーク蒸着法のパーティクル問題は保護膜開発者にとって頭痛の種であり、装置と格闘していた日々が今回の受賞に結びついたと考えますと感無量です。

 最後に、多くのご支援を賜りました株式会社フェローテックの皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

Last Modified at 2010/11/1