優秀講演論文賞を受賞して

関西大学システム理工学部
機械工学科
谷 弘詞

 この度は、2010年度年次大会において発表いたしました「磁気ディスク上におけるマルチデンテイト型潤滑剤の分子吸着形態に関する研究」に対し、優秀講演論文賞をいただき、大変光栄に思います。共同研究者である(株)モレスコの清水さん、小林さん、関西大院を既に修了されている谷池君、森君、そして多川先生、ならびに本賞へのご推薦、貴重なご指導を頂きました皆様に深く感謝いたします。

 今回の受賞対象となった研究は、磁気ディスクの表面に塗布されている約1.0nmの厚さのPFPE(Perfluoropolyether)潤滑剤の分子構造が磁気ディスクの表面上での存在形態におよぼす影響に関するものです。従来から用いられている潤滑剤の単分子膜厚は約1.7nmと厚く、磁気ヘッドと磁気ディスクのすき間低減の障害になってきたため、新しい潤滑剤を開発したいと考え、カーボン膜上の潤滑剤分子の存在形態を分子動力学計算で求めました。また、その計算結果は実験で求めた単分子膜厚とも一致しており、分子動力学計算を潤滑剤の分子設計に役立てることが可能であることを示しました。

 現在は、ヘッド・ディスク・インタフェースのトライボロジーに関する研究のみならず、カーボンナノチューブやDLCのトライボロジー、タッチパネルのトライボロジーなど、研究の幅を広げていければと考えています。今後もより一層の努力を続けていきたいと思いますので、 今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

Last Modified at 2011/9/28