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若手優秀講演フェロー賞を受賞して

名古屋大学
梶原 陽介

 この度,IIP2010情報・知能・精密機器部門講演会にて発表いたしました「2段結像型エリプソメトリー顕微鏡による液体ナノ薄膜の動的可視化」に対して,若手優秀講演フェロー賞を頂き,大変光栄に思っております.今回の受賞で研究内容と発表に関して評価して頂けたのは,名古屋大学の福澤健二教授をはじめ,張賀東准教授,伊藤伸太郎講師に,研究から発表までの一連のプロセスを常日頃からご指導頂けたからこそだと思います.この場をお借りして深く感謝の言葉を申し上げます.

 今回,受賞いたしましたのは,摺動時の液体ナノ薄膜を高い空間・時間分解能で測定する方法に関する研究です.従来,液体ナノ薄膜の高速測定にはエリプソメトリー顕微鏡が用いられてきましたが,面内分解能を向上させると,測定領域が狭くなってしまい,分解能の向上が原理的に困難でありました.そこで,従来法の原理的な困難性を解決する新規な2段結像型エリプソメトリー顕微鏡を着想しました.本顕微鏡では,物体像を一段目の結像系で空間に結像し,二段目の結像系で撮像素子上に二次結像を形成します.これにより,物体像を光軸に対して垂直とし,視野狭小化の課題を解決しました.この顕微鏡により,面内分解能を向上しても,広い測定領域を確保することが可能となり,撮像素子の撮像速度の限界まで高速な観測を実現できることを確認しました.

 現在は,測定装置の空間・時間分解能の更なる向上を図り,目標とする摺動時の液体ナノ薄膜の可視化に向けて試行錯誤を重ねる日々で御座います.私は研究者としてまだまだ未熟な部分が多々ありますが,今回の受賞に恥じぬ様に研究者としての自分を磨き,研究・学会活動に励みたいと考えております.今後とも皆様のご指導・ご鞭撻のほど,どうぞよろしくお願いいたします.

Last Modified at 2011/11/25