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ベストプレゼンテーション表彰を受賞して

株式会社 日立製作所
難波 入三

 この度は、情報・知能・精密機器部門 ベストプレゼンテーション表彰をいただき、ありがとうございます。受賞対象となりました「テラビット級熱アシスト磁気記録を実現するSiサブマウントを利用した光伝送機構の開発」では、記録密度が1Tb/in2を越える次世代磁気ディスク装置を実現するための有望な新技術の一つである熱アシスト磁気記録用に開発した光伝送機構について報告致しました。

 1Tb/in2を越える高記録密度を達成するには、通常の磁気ヘッドの書き込み能力を超える高保磁力媒体が必要となります。熱アシスト磁気記録は、近接場光で高保磁力媒体を加熱してその保磁力を下げ、そこに磁場で情報を書き込む技術です。このため、熱アシスト磁気記録ヘッドには、記録磁極の近傍に近接場素子と、近接場素子にレーザー光を導く導波路が形成されています。光源となるレーザーダイオード(以下、LD)を熱アシスト磁気記録ヘッド近傍に配置する必要がありますが、LDの信頼性の観点からLDを直接熱アシスト磁気記録ヘッドに実装することはできません。

  本発表は、熱アシスト磁気記録ヘッドにLDを実装するために必要なサブマウントの開発に関するものであります。LD側の制約条件と磁気ディスク装置側の制約条件の両方を満たすことは、大変難しい課題でありましたが、熱解析技術やSi-MEMS技術を駆使することでこれらを克服することができました。また、開発したサブマウントを試作し、これを用いることで実際にLDを熱アシスト磁気記録ヘッドに実装できることを確認しました。また、LDを実装した熱アシスト磁気記録ヘッドを用いて初期評価を行い、その有効性を確認しました。

 最後に、多くのご支援を賜りました株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズの皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

Last Modified at 2011/11/25