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2018年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰

東北大学大学院
塚本貴城

 私共の研究発表に対しまして,2018年度 日本機械学会 情報・知能・精密機器部門 ベストプレゼンテーション表彰をいただけましたことを大変光栄に思っております。まずは,この場をお借りして御礼申し上げます。

 賞をいただきました発表は,「仮想回転を用いた高バイアス安定CW/CCW モード分離型MEMS 積分ジャイロスコープ」という題目で,機械学会2018年次大会で発表させていただいたものになります。

 この研究は,積分型MEMSジャイロスコープの精度を向上させるための研究になります。

 積分型ジャイロスコープとは,フーコー振子のように,回転角度を直接的に測定する型のジャイロスコープであり,現在MEMSジャイロスコープの主流となっている角速度ジャイロスコープとくらべて,温度安定性やバンド幅を劇的に向上できるといった大きな特徴があります。

 このような積分型ジャイロスコープの実現のためには,MEMS振動子を正確に対称な形状にする必要があります。今回受賞した研究発表では,MEMS振動子の不完全性からくる誤差を低減させるための方法の報告になります。この方法では,振動子に強制的な回転を加えることで,MEMS振動子の非対称性の影響を低減させるものになります。

 今後は,今回の受賞を励みにして,より一層本技術の完成度を高めていきたく思います。

 本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(未踏チャレンジ2050)の結果得られたものです。


図1 積分型ジャイロスコープの動作原理図。 (a)MEMS振動子上に2つの回転モード振動(CW,CCW回転)を起こさせる。(b)それぞれの共振周波数が,回転角速度によって変調されるので,2つのモードの位相差は時間とともにおおきくなっていく(位相差が回転角速度の積分に比例する)。(c)よって,2つのモードの位相差を測定することで,回転角度の積分値,つまりは回転角度が求まる(=積分型ジャイロスコープ)。


図2 積分型MEMSジャイロスコープの制御ブロック図と,作製した制御ボード

Last Modified at 2019/9/6