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2020年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰

名古屋大学
渡邉圭介

 この度は,日本機械学会2020年度年次大会において発表しました「発表題目」に対し,情報・知能・精密機器部門ベストプレゼンテーション賞を頂き大変光栄に存じます.

 受賞した研究は,ヒトの指腹部に加わる垂直力,せん断力を爪の画像から深層学習により推定する「爪色三軸触覚センサ」の開発に取り組んだものです.この場をお借りして,本研究を遂行するにあたり,御指導と御鞭撻を賜りました名古屋大学 大岡昌博 教授に対して,深く御礼を申し上げます.

 本研究で開発する爪色三軸触覚センサでは,爪に対して波長500[nm]の緑色光を照射し,小型CMOSカメラでその様子を撮影する構成を採用しています.緑色光を採用した理由は,血液中ヘモグロビンの吸光特性があるからであり,これにより,撮影した爪画像から爪内部の血液分布が得られます.指に力が作用されると,内部血管の弾性変形により爪内部の血液分布は変動するため,爪画像から指先力を推定することが可能となります.また,本研究では特に精度の高い指先力の推定を実現するために,爪画像と指先力の相関を深層学習で学習する方法を採用します.以上の考えに基づいて,提案するセンサを試作しました(図 1 ).

 試作したセンサについて、爪画像と指先力を紐づけたデータを収集しました。収集したデータについて85%を学習用,15%を評価用にランダムで分け,画像と指先力の相関関係を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で学習しました.評価用データで深層学習モデルの推定精度について評価したところ、先行研究の課題とされていた指先三軸力の高精度な推定を達成しました。

 最後になりますが,日本機械学会情報・知能・精密機器部門のこれから益々のご発展を祈念し,御礼の挨拶とさせていただきます。


図1  開発した爪色三軸触覚センサ

Last Modified at 2021/8/31