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2021年度部門表彰者の声:優秀講演奨励賞

九州工業大学
早川 翔大

 この度は,日本機械学会2021年度年次大会にて発表しました「カットオフ波長制御による熱スイッチング素子の開発」に対し,優秀講演奨励賞を賜り,大変光栄に存じます.この場をお借りし,日頃よりご指導いただいた宮崎康次教授並びに矢吹智英准教授に心より御礼申し上げます.

 本研究では,黒体面とサーメット面間の平行二平板でふく射熱輸送を利用したスイッチング素子を提案しております.波長によって異なるふく射特性を持つ波長選択的な面と黒体の平行二平板でのふく射熱輸送を考えると,素子の作動温度はふく射スペクトルに依存します.そのため機械的駆動部なしで熱流を可逆的にON/OFFできる素子の設計が可能です.熱スイッチング素子に適したふく射特性は,カットオフ波長以下では放射率が1で,それより大きい波長域で放射率が0である.そのような波長選択的なふく射特性を持つ材料として,金属とセラミックの複合材料であるサーメットが挙げられ,材料の種類や混合比,複層にすることでふく射特性が制御できます.本実験では低コストかつ簡易的な成膜方法であるMOD法によりサーメットの成膜を行いました.作製した素子は温度差が低いときは断熱的な熱流束を示し,温度差が大きくなるに従い指数的に熱流束が大きくなるスイッチング的な特性を示しました.さらに,ふく射スペクトルの制御により素子の動作温度の制御を確認しました.

 今後もこの受賞を励みとして,より一層研究活動に邁進してまいります.最後になりましたが,日本機械学会情報・知能・精密機器部門の益々のご発展を祈念し,受賞の挨拶とさせていただきます.


図1 スイッチング素子に適したふく射特性

ダイアグラム が含まれている画像  自動的に生成された説明
図2 各カットオフ波長における熱流束の計算結果

Last Modified at 2022/6/8