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2021年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰

パナソニック株式会社
(前所属:名古屋大学 大学院工学研究科)
難波孝彰

 この度は,日本機械学会2021年度年次大会にて前所属として発表しました「深層強化学習を用いた患者の見守り支援システムへの看護理論適用に関する研究」に対し,情報・知能・精密機器部門ベストプレゼンテーション賞をいただきまして,誠に光栄に存じます.本発表の内容は,病院内の患者安全を目的に,自律移動型看護支援ロボットに搭載する深層強化学習モデルを適用環境と整合させるため,代表的な看護理論の観点を取込んだ研究の紹介であり,世界的にみても例がほとんどなく,先駆的な試みとなりました.本研究では,人工知能(AI)技術を用いたロボット技術で医療スタッフをアシストするアプローチを通して,深層強化学習の産業利用に向けた様々な課題解決に一つ一つ取り組んでいます.

 本発表では,それらの課題の一つ「汎化・特化」について,見守り支援システムならではの観点で「適用環境との整合」に取り組みました.患者自身の状態とその周辺環境を深層学習によりリアルタイムに自動リスクアセスメントし,それらの結果と支援ロボットの状態を入力とした深層強化学習モデルにより,医療スタッフの最適な介入方法を決定支援します.複数の看護理論を組み合わせることで,観測すべき状態,および介入が必要な範囲と最適な介入方法の決定指標を明らかにし,深層強化学習の適用環境に応じた「状態・報酬・行動」の設計指針を示すことができました.

 今後もこの受賞を励みとして,新たな課題解決に向けて日々の研究開発に邁進していく所存です.最後になりましたが,日本機械学会 情報・知能・精密機器部門の今後の更なるご発展を祈念して,受賞のご挨拶とさせていただきます.


図1 患者の見守り支援システムへの強化学習の概念の適用


図2 看護理論に基づく指標づくりの例

Last Modified at 2022/6/8