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2024年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰

東北大学
高成 真輝

 この度は、日本機械学会2024年度年次大会において発表した「木材感と表面特性の関係に関する研究」に対し、情報・知能・精密機器部門ベストプレゼンテーション表彰を賜り、誠に光栄に存じます。ご評価いただきましたことに、心より御礼申し上げます。

 木材は、建築や家具をはじめとする多様な製品に用いられる汎用性の高い素材であり、その「触り心地」は、製品の印象や価値に大きな影響を与えます。近年では、木材の表面に塗装を施す処理や、異なる素材を用いて木材の触感を再現する技術も広く用いられていますが、それらの加工によって本来の「木材らしさ」がどのように変化するのか、また、人が感じる「木材感」がどのような感覚によって構成されているのかについては、未だ十分に解明されていません。

 本研究では、天然木材およびその模倣素材を対象に、触感に関する主観的評価(官能評価)と、表面の物理的特性(粗さや吸湿性など)の測定を行い、両者の関係性を分析しました。その結果、「粗い」「ざらざら」「柔らかい」「乾いている」「温かい」といった感覚が木材感の知覚に強く寄与しており、特に表面の粗さや吸湿特性が木材感を特徴づける重要な要素であることが示唆されました。これらの知見は、木材の質感を活かした製品設計や、質の高い触感模倣技術の開発に資するものと期待されます。

 今回の受賞を励みに、今後も触感覚の知覚メカニズムの解明に取り組み、触感を通じた快適性や利便性の向上を目指して、研究を深化させてまいります。

Last Modified at 2025/5/7