用語説明

「超臨界圧ボイラー」
・「超臨界圧ボイラー」とは、液体の(この場合は水の)臨界圧力より高い圧力で、運転されるボイラーである。水の場合、臨界圧力22.064MPa(218.3気圧)および臨界温度374.2℃において、臨界点という特殊な状態をとる。
・臨界圧力以下の圧力(亜臨界圧)で、液体の水を温めてゆくと、一部が蒸気(気体)になって、気泡となり、液体と気体が共存する状態が見える。一方、臨界圧力以上の圧力(超臨界圧)では、この「液体と気体が共存する状態」が見られず、水(液体)に熱を加えてゆくと、臨界温度374.2℃付近で、一瞬にして全体が蒸気(気体)になる。すなわち、「水の中に気泡の状態:共存領域」が存在しない。
・ボイラーの構造からは、「亜臨界圧ボイラー」は、気水分離のためのドラムが必要であったが「超臨界圧ボイラー」は、貫流ボイラーである。
・超臨界圧ボイラーでは、当時、広く普及していた亜臨界圧ボイラーより、熱伝達率が良くなると考えられていたが、それを実証するデータが乏しく、実用レベルの実験が求められていた。この実証試験を行い、上記の現象が、熱伝達率の向上に貢献し、格段の差があることを実証した。
・現在の大容量ボイラーは、すべて、「超臨界圧・貫流ボイラー」である。


 

「コンバインド・サイクル」
・当時、通常の火力発電所では、水をボイラーに送り、538-600℃までに過熱して、蒸気タービンに送り、膨張させて動力を発生し、蒸気はコンデンサーで冷却して、再びボイラーに送るという、「水?蒸気のサイクル」によって、発電をしていた。
・一方、このサイクルとは別に、1,000-1,200度Cの燃焼ガスを、ガスタービンに送り、膨張させて動力を発生し、発電機を回して、発電する「ガスタービン・サイクル」による発電も行われている。
・現在の大容量火力発電所では、上記2つのサイクルを組み合わせて、「コンバインド・サイクル」として発電する方式が、用いられている。すなわち、ガスタービンにおいて仕事をした「燃焼ガス」の高温の排気を、「水-蒸気のサイクル」のボイラーに当たる「排熱回収ボイラー」に送り、蒸気タービンで使う蒸気を発生させる。
・言い換えれば、600℃以下の領域で熱サイクルを構成していた従来型の汽力発電サイクルの頭に、1,200-600℃の範囲の熱サイクルを追加することで、熱力学で言う「熱サイクルの高温熱源の温度:Tн」を、大幅に引き上げることを意味する。従って、発電所全体で見れば、熱サイクルの高温熱源が大幅に引き上げられて、発電所熱効率が、40%台から50%台に引き上げられるという効果が得られる。



日本機械学会学生向けインタビュー企画
モンゴル通信 シニア・エンジニアから若手技術者へのメッセージ
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