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筋収縮力学

muscle contraction mechanics

 筋(骨格筋・心筋)収縮力学は,筋の力学モデルの提案とその力学モデルによる収縮運動の力学解析を主要課題とする.GasserとHill(1924年)が粘弾性モデルを用いて収縮応答を解析した研究によって筋収縮力学ははじまったと考えられる.現在では,収縮要素(CC),直列弾性要素(SEC)および並列弾性要素(PEC)からなる三要素モデルが妥当とされている.筋の収縮張力は収縮要素の活動により発生し,二つの弾性要素は収縮活動とは無関係な受動的ばねとして働くと仮定されている.SECとCCによる二要素モデルは,等張力性収縮における張力と速度の関係を表すことができる.この等張力性収縮では直列弾性ばねの長さが一定になるために収縮要素の特性を決定できる.収縮要素を,分子レベルの力学モデルで説明しようとする試みがHuxleyらの研究からはじまって現在にいたっている.静止状態にある筋は静止長以上に伸ばされた場合に張力を発生する.この静止筋の張力は静止張力と呼ばれ,PECはこれを説明するための要素である.静止張力曲線はPECの長さと張力の関係を表すことになる.実験結果から非線形ばねであることがわかる.三要素モデルによって,等尺性張力(強縮状態)が静止長において最大であり,筋の長さがこれより長くなっても短くなっても減少することが説明できる.