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生体伝熱方程式

bio-heat equation

 生体内の熱の輸送を表す熱バランス方程式で,いわゆる熱伝導方程式に血流による熱輸送や代謝による産熱(熱発生)の項などを付け加えたもの.最も古くはPennes(1948年)により導かれており,血液潅(かん)流の効果は等方的で,組織温度が静脈血温度に等しいと仮定して見掛け上熱発生項として取扱われ,熱伝導方程式に産熱項と共に付け加えられている.この方程式は血管網の構造や血流速度に依存しないため簡便であり,頻繁に用いられている.Pennesの式の血液潅流項を実験結果などから検討し,より精密に与えたのがWeinbaumとJiji(1948年)である.彼らはうさぎ腿(たい)の温度分布や血管網の構造についての研究結果を基に,血液潅流の方向性や熱交換に重要な血管について考察して精密な新しい生体伝熱方程式を導いた.しかし,この方程式を用いるためには血管網の微細構造や血流速度分布などをあらかじめ知らなければならず,実際に適用することは難しい.Pennesの式よりも精密でWeinbaumとJijiの式よりは簡便な式をArkinら(1987年)が導いている.これは血液潅流による熱発生項のほかに,一定の組織体積内の血流の平均速度による対流の効果を組込んだものである.対象とする組織と関心に応じていずれの式を用いるかを判断する必要がある.