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補助循環

assisted circulation

 心臓のポンプ機能が低下し,ショック状態におちいった患者の血液循環を,一時的に機械装置によって補助もしくは代行し,心臓の回復を助けるための治療手段の総称.比較的軽症の場合には,経皮的に大動脈内に挿入するバルーンを心臓の収縮期に収縮させ,拡張期に膨張させることにより,心臓収縮期の心臓仕事量の軽減効果と,拡張期の冠動脈血流量の増大効果が得られるIABP(intra-aortic balloon pumping)装置が使用される.IABPは煩雑な開胸操作を必要とせず,生体に対する侵襲も少ないため,補助循環の第一選択として広く使用されているが,効果が不十分な症例も多い.このような場合,人工心肺装置を用いて静脈系から脱血し動脈系に送血する,V-Aバイパスが適応される.V-Aバイパスには,最近,遠心ポンプを用いた経皮的人工心肺を用いる手法が登場し,IABPに近い手軽さで使用可能となったため,その適応範囲を広げつつある.さらに強力な補助が必要な症例では,遠心ポンプや,空気圧駆動もしくは電磁力駆動の拍動型血液ポンプを,左心,右心,もしくは両心に対して並列に装着し,心臓の仕事量を軽減する補助人工心臓が使用される.補助循環のほとんどが最長2週間程度で終了するが,なかには数箇月に及ぶ症例も存在し,特にアメリカでは,埋込み型の補助人工心臓を用いて,心臓移植までのつなぎとして月単位の補助循環が多数実施されている.