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宇宙ロケット

launch vehicle

 地上から宇宙空間まで物資,人間を輸送するための,推進機関を備えた運搬手段のことをいう.宇宙空間では周囲の空気を利用した推進方式はとれないため,推力を発生する機構として,種々の形式のものが考案され実用化されている.
まず化学ロケットでは,化学反応で熱を発生し生成気体を噴出して推力を得る.この方法はドイツによって開発された最初の実用ロケットV2号の推進方式でありその後も最も一般的に使われているものである.推進剤として液体を使用するものと固体を使用するものがありそれぞれ液体ロケット,固体ロケットと呼ばれる.固体液体の混合型のハイブリッドモータも研究されている.液体ロケットには,常温で貯蔵可能な推進剤と,液体水素,液体酸素のような極低温に保冷して使用する推進剤とがある.化学ロケットは大推力を短時間に必要とする,地上から地球周回の低軌道への打上げに適した方法である.
このほかに電気的方法によりイオン化した推進剤を高速に加速して噴出し推力を得る方法(電気推進エンジン)や,原子力を利用した推進方法も研究されている.いずれの方法も化学ロケットよりかなり高い比推力が期待できる.
ロケットの機体構成の一例として,1994年2月に初飛行に成功した静止衛星打上げ能力約2tのH-Ⅱロケットを示す.人工衛星を地球周回軌道に乗せるには,現状の技術では単一のロケットでは不可能で,複数のロケットを組合せて多段式ロケットとする必要がある.H-Ⅱロケットの場合,両脇の固体ロケットで中央の1段目の液体ロケットの推力を増強し,これらの燃焼終了後切り離された2段目の液体ロケットが人工衛星を周回軌道まで輸送する.衛星を搭載する部分は,空気層中を抜けるまで衛星フェアリングというカバーで覆われて保護されている.各段には推進剤貯蔵用タンクを中心とした機体構造にエンジンが装着されており,機体制御,通信などのための電子機器が各所に配置されている.
宇宙ロケットのもう一つの形態は,地上と宇宙空間を往復する宇宙往還機である.この形態は再使用による輸送コストの低減化をねらったものであり現在運用中のアメリカのスペースシャトルがその最初の実用化例である.スペースシャトルの運用費は従来型の使い捨てロケットに比べ結果的には割高となっており,完全な再使用型による輸送費用の画期的な低減化は将来の課題として残されている.

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