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脆性破壊

brittle fracture

 塑性変形をほとんど伴わない破壊.ガラスやセラミックスの破壊が典型的な脆性破壊であり,き裂の急速進展によって起こる.延性破壊の対義語.破壊に要するエネルギーが小さいので不安定破壊(外力が新たに仕事をしなくともき裂が進展する)となることが多く,構造物に致命的な損傷を与える.過去に大型タンカーの折損事故,つり橋の崩落事故,球形タンクの破裂事故など脆性破壊による損傷事例があり,最も危険な破壊形態である.大型構造物に用いられる鉄鋼材料の脆性破壊は,微視的(電子顕微鏡の尺度)には結晶のへき開面に沿って生じる分離破壊(へき開破壊)あるいはファセット状の破面を呈する擬へき開破壊で,き裂の伝ぱ速度は秒速2000mにも達することがある.鋼材の場合,切欠が存在したり,低温となるほど脆性破壊が生じやすくなり,それぞれ切欠脆性,低温脆性と呼ばれる.また,ひずみ速度の増大によっても脆性破壊が生じやすくなる.溶接構造用鋼など強度がそれほど高くない鋼材では,室温付近では延性破壊し,低温域で脆性破壊を示す延性-脆性遷移現象が顕緒に現れる.鋼材ではへき開形のほか,結晶粒界で破壊する場合にも一般に脆性的破壊をする.また,高強度合金鋼,超々ジュラルミンなどの高力アルミニウム合金では,微視的には通常の鋼材とは異なる破壊形態をとるが,延性がきわめて低いために,巨視的には脆性的挙動を示すことがある.