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溶接部

weld zone

 溶接金属および熱影響部(HAZ)を含めた部分をいう.溶接金属と母材の境界が溶接ボンド部である.溶接部は比較的短時間で溶融凝固されるかもしくは,固相状態において急熱・急冷されるため母材と異なった組織や特性を示す.溶接金属ではHAZの結晶を核としてエピタキシャル成長をした柱状晶からなる特徴的な組織となる.また,溶接金属中の凝固組織は一方向凝固デンドライト,セルラーデンドライトもしくはセル状の凝固組織を呈するが,一般の鋳造に比べて,それぞれの組織は比較的細かい.HAZは溶接金属に接した母材部分で一般的には,溶接時の熱サイクルによって材質が変化した部分をいう.鋼の場合は通常Ac1以上に加熱された領域をさす.鋼のHAZでは変態により組織が母材と比べて大幅に変化するため,HAZの範囲は組織検鏡によって容易に知ることができる.変態しない材料ではHAZの範囲を決定することは比較的困難であり,組織面からは結晶粒度,析出物の有無によって,また,材質面からは硬さ,靭性,耐食性などの測定結果から決定される.また,溶接ボンド部は,粗大結晶化しやすく靭性が非常に低下する.この溶接ボンド部脆化に対しては入熱制御を行う必要がある.一方ルートからの割れ発生も重要な問題点となる.

08/1013053.txt · 最終更新: 2023/02/17 11:29 by 127.0.0.1