一般に,地震の水平動を免震するための免震装置は,基本的機能として,①構造物/機器を支持しながら,水平方向に数十cm以上の距離を移動もしくは変形できる機能,②弱い復元力を与える機能(通常2~4秒程度の固有周期を実現),③振動エネルギーを吸収する機能(通常10~20%程度の等価減衰比を実現),を備えたものでなければならない.建物のような重量構造物の場合,薄いゴム板と鉄板を交互に積層した積層ゴムによって①と②の機能を実現し,③の機能を果たすダンパを組合せた免震装置が主として用いられる.その免震装置は,①積層ゴムとは独立に別置きのダンパを用いるタイプ,②積層ゴムの中心に鉛の円柱を埋込んだ鉛プラグ入り積層ゴム,③ゴム自体のエネルギー吸収能力を高めた高減衰積層ゴム,に大別されるが,いずれのタイプも免震性能上に大差はない.このほか,滑り支承を主要素とした免震装置も一部で使用されている.建物全体ではなく,ある階の一部もしくは全部を免震する床免震では,多数のタイプの水平免震床が使用されている.さらに,上下動をも免震する三次元免震床も実用化されている.ただし,現状技術では,上下免震は水平免震ほどの免震効果はなく,その分,上下の相対変位も数cmと小さい.