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人工筋肉

artificial muscle

 生体の筋肉と同様,収縮・伸張によって外界に対して仕事をすることのできる駆動用材料.広義には収縮・伸張による駆動機構をさす.人工筋肉アクチュエータの駆動用材料として代表的なものに形状記憶合金(SMA)や高分子ゲルがある.SMAの動作は高温で安定な母相と低温で安定なマルテンサイト相の間の相転移に基づいている.アクチュエータとしては低温で与えられた変形が高温で元にもどる性質を利用する.NiTi合金のワイヤでは加熱時に約1%の収縮率,100MPaの張力発生が可能である.空調機の吹出し口の制御や温室窓の自動開閉器などへの応用例がある.高分子ゲルは三次元的に架橋された高分子網目であり,メカノケミカルアクチュエータの主要材料である.高分子が水中あるいはほかの溶媒中で温度やpH,イオン強度など環境によって分子形状を変える性質により,高分子ゲルの体積や弾性率が変化し,化学エネルギーを機械的仕事に変換することができる.組成によりpH応答性,温度応答性,光応答性,電気応答性材料とすることができる.最近では最大発生張力が1MPaの材料,応答が1秒を切る材料,電気的に制御することでシャクトリムシ様の運動を実現した報告がある.近年の科学技術の進歩により新たな原理による人工筋肉が開発される可能性も大きい.