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摩耗

wear

 二物体間で相対滑りが生じたときに生じる物体表面層の微視的な破壊現象.狭義には摩耗粒子が生成され,摩擦系から排出されて体積損失が生じたことを意味するが,広義には表面損傷としてとらえる.したがって,摩耗は通常損失体積や損失質量で表されるが,損傷の深さや面積で表される場合もある.また材料の耐摩耗性は摩耗率や,比摩耗量,摩耗係数で与えられるが,それは材料固有の値ではなく摩擦条件や相手材に依存する.摩耗機構は,①凝着摩耗,②アブレシブ摩耗,③雰囲気や潤滑剤との化学反応,および反応生成物の影響が強い腐食摩耗または化学摩耗,④摩擦力が繰返し作用することで薄片状の摩耗粒子が発生し,表面にピッチングやフレーキングが生じる疲労摩耗に分類される.また滑り形態からは一方向滑り摩耗と往復動摩耗に大別される.フレッチングは往復動摩耗の滑り振幅が極端に小さい場合をいう.またエロージョンまたは衝撃摩耗は摩擦面が一時的に離れる状態,または摩擦接触が断続的に生じるときの表面損傷をいう.巨視的な摩耗状態の変化からは重摩耗またはシビヤ摩耗と軽摩耗またはマイルド摩耗とに分類される.重摩耗では摩擦面は荒れ,金属粒子の生成が著しいが,軽摩耗では摩擦面が大気中で酸化したり,潤滑油の成分と反応して反応生成物が摩耗を抑制し,摩耗率を小さくする.

16/1012481.txt · 最終更新: 2017/07/19 08:49 by 127.0.0.1