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ヒューマンインタフェース

human interface

 インタフェースは界面を意味する英語であり,したがって,ヒューマンインタフェースは人間と外界との界面を意味する.実際には,この言葉はおもに人間と機械における操作や応答などのあり方をさして使われる.
ヒューマンインタフェースの重要性は計算機に代表される情報機械の扱いやすさに関する議論と原子力プラントに代表される大規模システムの安全性の問題の二つの観点から指摘されてきた.両者に共通する点は,操作に対してシステムの状態がどのように変化するかということと,その結果がどのような形で人間にフィードバックされるかということが問題である点である.これらの問題の解決にはシステムの設計の立場ではなくユーザの立場に立った発想が必要であるといわれ,設知科学および認知工学の領域で検討がなされている.認知科学は,人間がどのように環境を理解し,外界とどのように相互作用し,どのように目的を達成していくかということに関して科学的に分析を行う立場であり,認知工学はこれらの知見と計算機科学,システム工学の知識をもとに,よりよいシステムデザインを行うことを目的とした研究領域である.
認知科学の立場からは,人間の情報処理をモデル化する手法の検討が行われている.最もよく知られているものがS.K.Cardらによるモデル・ヒューマン・プロセッサの試みである.これは,人間の挙動を計算機の中にモデルとして表現したもので,知覚・認知・運動の三つのサブシステムより構成されていた.おのおのに,プロセッサとメモリを持ち,その挙動に関して心理学的実験より得られた特性が実現された.特に,認知のサブシステムでは,視聴覚情報の貯蔵や長期・短期記憶の区別など,認知科学の知見が反映されていた.このような,人間と同様の特性で振舞うモデルを利用してシステムのインタフェースの最適設計を行うことが意図されていた.
システムのインタフェースの実現方法の方に重点を置いた認知工学的なアプローチは,インタフェースが難解であることの理由に関する考察からはじめられた.この結論として,心的レベルで表現されるユーザの目的と,物理的なレベルで記述されるシステムの状態との違いが,目的を遂行する際に必要となる心的表現から物理的操作への変換と,システムの物理的状態や結果の解釈による心的表現への変換とを人間に要求し,これが障害となっていると考えられている.また,D.A.Normanによれば,このようなインタフェースは①目標の設定,②意図の形成,③手段の選択,④操作の実行,⑤結果の知覚,⑥結果の解釈,⑦結果の評価,の七つのステップに分けて考えることができるという(図).これらの議論をふまえて,ユーザの持つシステムに関するメンタルモデルの形成の重要性や,ダイレクト・マニピュレーションの概念が提案されている.

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